第15話 4月9日 今日は新月、そして女性弁護士
4月9日(火曜日)13:30 法律事務所第1回目の相談
『...を含めてですよね。そういうものが積み重なって離婚するに至ったという離婚慰謝料の増加...。それは時効とか関係ないですよね。その時から3年という話なので。ここの慰謝料とかはね、単発の行為に対しての話になるけど』
涼子は初めて正式に聞く専門的な用語が並び、思わず会話をとめた。
「すみません、今のもう1回。なんか...」
「コンピとか、ヨウイクヒとか、イシャリョウとかっていうのが、ちょっと分からなくて、もう1回聞いてもいいですか?」
目の前にいる女性弁護士は、昔見たドラマの女優さんに似ている。
元宝塚出身だっだっけ。才色兼備の切れ者刑事役で、情熱的で的確な仕事ぶりで事件の真相にせまっていく。強い意志の輝きを宿すという繊細な演技で見事に表現していたと記憶している。
(私の担当弁護士。すごく説得力あるし、頼もしいわ)
青木みどり弁護士の法律事務所は新宿のオフィスビルに入っており、離婚問題の実績豊富な弁護士がそろっているということだった。
実際、青木弁護士は今の事務所に移る12年前から、DV被害者への法テラスにも対応されていた
今日は月の暦で「
一直線に地球、月、太陽の順に並んでいるため、月の姿が見えない。
なんでも新月は「ニュームーン」ともいい、始まり、スタート、リセットの日だという。つまり様々な事を一度ゼロに戻して再スタートをするのに適している日。
涼子はスピリチュアルにさほど関心はなかったが、今日が人生のデトックス初日だとすれば随分おあつらえ向きではないか。
満月と反対に、新月は月の光量が最小になる。すると放出の力が強く働くとかなんとか。あながち非科学的な話ではないかも知れない。
「願い事」を紙に書くのもいいらしい。
今日準備していった目も前にある書類、出まくっているな、願い事「りこん」の文字。
(新月さんありがとう。)
涼子は内心おかしく思いながら、青木みどり弁護士の話をノートにメモしていった。
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