第2話 3月25日 朝7:20『俺は変わったつもりだ、お前は変わったのか?』

 3月25日(月曜日) 朝7時20分頃


 マサオは会社に出勤する前に、また涼子の寝室へやってきた。


 マサオ「何してんの?今」

 涼子「うん…」

 マサオ「何してんの?!今」


 涼子は頭の中で考えた。どういう言い方をしたら、会話を平和に終わらせられるのかを。

まだ朝の7時20分だというのに。


「今、何してんの?!!」

 マサオの声色が怒りのトーンに変化した。これ以上黙っていると、怒り出すパターンだ。


 涼子は様子をうかがいながら言葉を発した。

「うん、考え事」


 マサオ「そう、それで?」

涼子「うん、さっきの会話のことを今考えてた」

 マサオ「で?」

(もう言い方がこわいよ…)


 涼子はなるべく静かに言葉を続けた。


「『いつまでそういう態度をとるんだ?』って言うけど、私はなるべく衝突しょうとつを避けるために、いまは会話を避けている」


 マサオ「うん、それで?」

 涼子「それで、っいうか、うん、そう思ってるってことなんだけど」


 15秒間の沈黙。


 マサオ「じゃあさ、涼子さん、あー、やっぱだめだわ、ケンカになるといけないから、わかった」


 涼子が「いいよ」と言い終わる前にそれは始まった。


 マサオ「それならわかった、俺も、それにじょうずるわ」


「ん?」一瞬耳を疑う。聞き間違いかと思ったが違った。


 マサオ「俺もそうするように、てっするよ」

「あなたがそういうことで、そういう態度をとり続けるなら、そうするよ、衝突を避けるために会話をなくすって言うことね?」

 涼子は「うーん…」と答えながら、心のなかでつぶやいた。


(また始まった、言葉尻ことばじりとらえて言いがかりをつける…)


つづく

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