第5話 絵師爆誕
さて、そんな僕がこの頃に没頭していた趣味がありました。それが『絵を描く』ことです。絵、といっても油絵や水彩画などの芸術的作品ではありません。
若かった僕は『えろCG』に夢中だったのです。
女の子が悶える表情を嬉々と描いていましたね。
メインに使っていたのは富士通が社運をかけて開発したFMタウンズです。
当時世の中を席巻していたNECのPC98が16色しか発色出来ない仕様だったのに対して3万色以上の同時発色数を誇っていました。
だからなのか『お絵かきソフト』の種類もたくさんありました。
僕が好んで使っていたのが富士通が発売していた『タウンズペイント』です。色を流し込んでから輪郭部分を指先ツールでぐりぐり擦ると良い感じにボケてリアル感が増します。
他には『メニーカラー』という同時発色数をあえて256色に限定した仕様のツールも使っていました。なんと開発には憧れのエロゲーメーカー『アリスソフト』も(僕はアリスの会員でした)関わった優れもの。
ペンタブレットはもっていませんでしたから(まだ世の中に出ていなかった?)紙に下絵を描いて、それをイメージスキャナーという機械でデジタル化してパソコンに取り込みます。
絵の輪郭を描き直し、色を流し込んで、というアナログちっくな描き方が当時の主流でもありました。
パソコン通信(インターネットではない)の掲示板で絵師が集まる場所があり、僕もその末席で楽しく過ごさせて頂きました。
そこで知り合った方から「うちで美少女だらけのCGイラスト百科を作るんだけど数枚お願い出来ませんか」と依頼が来たのです。驚きです。
いちおう正規の販売ルートで各パソコンショップには卸すけれど実際は限りなく同人活動に近いノリのソフトです。
ギャラも出ず、たしか千円くらいの図書券が送られてきました。それでも僕は喜んで描きました。
僕の描いた絵が全国のパソコンショップで販売されるのです。そう、パソコンショップで──あれ?
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