第6話 超共振、魔法の才能①
ーーー東エリア 第3実技演習場
実習のため演習場に移動した俺達は、二人一組になって広く等間隔に並んでいた。
俺達が今居るこの演習場も学校に数ある内の一つに過ぎないが、それでも途轍もなく広い。
思う存分魔法を放てと、そう言わんばかりだ。
俺は辺りを見回すのをやめ、対面のミラに視線を移すとミラと目が合う。
改めて見ると、こいつ意外と美人だな...。
意外とっていうか、かなり、...か。
目鼻立ちはすっきりとしていて、凛とした眼差し。
その赤眼はルビーのように美しい。
そのうえ口元は主張しすぎない程度にぷっくらとしていて
肌は透き通る雪のようだ。
俺がジッと見つめ過ぎたのか、
ミラは目を逸らして赤面しつつ、こういった。
「なんか、改めて面と向うと、恥ずかしいわね」
なんだか少ししおらしい。
面白そうだし、ちょっとからかってやるか。
「もしかして...ミラって友達いないのか?」
「ッ失礼ね! ...そんなわけないじゃない。ちゃんと居るわよ。ただ、みんな、この講義取ってなかっただけよ...」
ぼそぼそと尻すぼみしていく言葉。
ミラは羞恥心に悶えた様子で、少し涙目になっていた。
「分かった、分かった。悪かったよ。俺もちょうど連れが組んじまっててな。相手探してたんだ、助かったよ」
「...そう。それなら良かったわ...。あの、改めてよろしくね?」
...ミラの期待する眼差し。
めずらしく素直で、とても謙遜的だった。
...なんかやりづれえ!
こいつ、さっきまでの威勢はどうしたんだよ...。
「まあ、気を取り直して、今日は初級魔法をお互いに打ち合うらしいぞ?」
俺はそう言いながら講師に目を向けた。
「さっきも言いましたが、今日は魔法の実技演習ですっ。みなさんの実力を知りたいので、思う存分やっちゃってくださ〜い。
ただし、攻め側は初級魔法を最大出力で、受け側は防御魔法を相手の力量に合わせること。分かりましたか〜?」
「...みたいね。分かりやすくていいわ。それに期待の新人って言われてるアンタの力量知りたいしね。ご命令通り、思う存分やりあいましょ?」
「期待されても困るんだが...。まあ、
...続けてゆるふわ講師の細かな指示が飛ぶ。聞いてる限りはゆるいが、その実、理に適っていると言える今回の実習内容。
攻め側は内なる魔素の内包量、つまりは自分が出せる魔法の最大強度を知れるし、
受け側は相手の力量に合わせて防御魔法を張ることで、魔素のコントロール力が分かる。
大変合理的な実技演習だ。
ミラにはああ言ったが、本当に謙遜でもなく期待されても困る。
俺は別に魔法の天才でもなんでも無いからだ。
それにダンジョンでは命に関わる為、その場で最適な魔法しか使わない。
最大出力なんて、こういう機会でもないと滅多にやらないのだ。
だから俺は自分でも自分の実力を知らない。
...俺は今まで剣技を主体に戦ってきた。
だけど、いつかは魔法に頼ることになる。
そう考えると、今日の実技演習はちょうど良かったかもしれないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます