5章-3【猟奇3】


僕達はルナの実家に向かった今は丁度20時を過ぎたあたりだから着くのは深夜になるだろう

でもその方が有難い、事を起こすには丁度いい時間になるはずだ

僕は休憩もそこそこ向かった、ルナを隣に後ろに館山さんの死体を乗せて

この死体にはまだ役割があるそれまでは置いとかなくてはいけない。

道中僕もルナも無言だった、それはこれからやる事への不安、覚悟とも言うべきかそれとももう後戻り出来ない後悔なのだろうか色んな感情が渦巻いていた。

しかしやはりどこかに憤怒というかそれもあり

許す事が出来なかった、なにに?

自分の娘を恥辱し続けた親に?

僕にトラウマを植え付けた奴等に?

そらはもうはっきりと分からないけど、この世界のなにかにだ!

もう進むしかない、1人殺して僕はもう綺麗事なんて言えない全て僕が終わらせる

今はその事だけ考える事にした。

東京から車を走らせ約6時間目的の場所付近に到着した。

ルナの住んでいる所は田舎でのどかな所だった。

民家はまばらで家と家の間もそこそこ空いており少しぐらい騒がしくしても隣の家に聞こえる事はないと思えた。

しかも途中から雨が降って来てるのも都合が良かった、これで少しの物音ぐらいならかき消してくれる。

ルナの家に着いた、ルナの家は普通の民家で2階建ての家だそこまで広い訳でもない。

流石に深夜2時みんな寝てるのだろう電気は付いていない。

問題はここからだ、どうやって中に入ってどの順番で殺すかだ。

ルナは家を出る時に家の鍵を持ってきていない。

だから玄関の鍵を開けて入るという選択肢はない、ルナが言うにはおそらく裏の勝手口は鍵が掛かっていないからそこからなら入れるということだった。

1階には父親、母親が寝ていて、2階にはルナと兄の部屋があるらしい、力の弱い僕が抵抗されたらそれだけで返り討ちに合うリスクが高まるだからまずは兄の寝込みを遅い、それから父親、母親の順に殺すのがいいと思えた。

そうと決めれば次は何を持っていくかだ、

まずナイフは必要になる、後はホームセンター出来買った釘打ち機も持っていく事にした。

それとロープ、テープ類も一式をリュックに入れて僕は外に出た。

雨がだいぶ強くなって来ていた。

ルナには車で待っているように言ったが聞かなかった、私が裏口に案内してちゃんと見届けたいとの事だった。

仕方なく僕はルナと一緒に家に入る事にした。

ルナの言っていた通り裏口の扉は鍵が掛かっていなくドアノブを回すと「カチャリ」と

何の抵抗もなく開いた部屋は暗かった一応懐中電灯を持ってきておいたのでそれを照らした。

まずは兄からだから2階を目指さないといけない、ルナに誘導してもらい2階に上がる階段に

差し掛かる、ルナにここで待っているように言うがそれも聞き入れて貰えなかった。

事の顛末を全て納めたいとのことだった。

階段をゆっくり慎重に上がる、音をたてないようにそっと、2階に上がりきると

廊下になっておりその先左右に2つの扉があった。

左がルナの部屋で右が兄の部屋らしい足を忍ばせて扉の前まで行く、そしてまだ起きていると

いけないので扉に耳を当て中の様子を伺った。

物音はしないおそらく寝ているのだろうと思った、そしてゆっくりとドアノブを回し

扉を押し開けた、部屋は暗かったが懐中電灯のおかげで中の様子を伺えた。

しかし中にはベッド等が置いてあるがそこに兄の姿はなかった。

僕はもしかして今日は家に帰ってないのかとも考えたが、ルナが言うには兄はそんなに

家を出るタイプではなく外泊もここ数年したことないとのことだった。

僕はもしやと思い向かいのルナの部屋をそっと開いた。

そこは如何にも女の子らしい清潔な部屋だった、中からルナの匂いとも思われる香りが漂う。

ルナが「はっ」と手で口を押えて息を飲む

おそらくルナのベッドだろう場所にはおそらく兄であろう男が寝そべっていた。

しかも裸で、僕はそれを見た瞬間頭に血が上った。

左手で持っていた懐中電灯を床におとした「がたっ」と音がしたがそんな事で

兄は起きなかった。

それよりも兄がここで何をしていたのか容易に想像ができた。

その行為に僕は憤怒し我をわすれた、ベッドの上に行き兄の上に立ち持っていた金属バットを

両手でもった。

年齢的には同じぐらいなのだろうが明らかに小太りで醜い生き物にしか見えなかった。

再度金属バットを握り直し思いっきり頭めがけて振り下ろした、「ガッ、ゴッ」と音がなる

兄の頭を何度打ち付けたかわからない、息が切れ我を取り戻した時には

ベッドの上の兄の手はピクピクと動いていたが頭はもう変形しており、目鼻口から血

というか液が出てきていた。

明らかに見て死んでいるとわかる状態だった。

「はぁ~」と息を吐き少し気持ちを落ち着けようとした。

これで一人は終わった、あと二人だ。

ルナと見るとしっかり立ってこちらを見つめていた。

僕が感情にバットを振り下ろすのをずっと見ていた。

それを目に焼き付けていたようだ。

また1階に降りる為に階段に向かい足音を立てないようにゆっくり降りる

さっきのでどれぐらいの音が響いていたのか僕には分からないが下の様子は静かなので

多分聞こえてなかったのだろうと思った。

1階に降りる、1階は和風になっており扉ではなく襖で仕切られていた。

まずダイニングが目についた、テーブルがありその周りに椅子が4つ置かれている。

その先に進むと夫婦の寝室になっているようだった。

襖の前で立ち止まりまた中の様子を伺う、中から寝息が聞こえてきていて中に人がいる

ことが分かった

僕は襖を少しだけ開けて覗き込んだ、中には布団が二つ引かれていて二人いることが分かった。

おそらく手前が母親で奥が父親なのだろう。

さっきは頭に血が上り冷静さをかいていたが今は大丈夫だ

僕は殺す前にこの親子に聞いてみたい事があった。

兄は衝動的に殺してしまったのでもう父親しかいないだから僕はゆっくり襖を

開けてそっと中に忍び込んだ。

特に起きる様子もなく寝息を立て続けている、僕は鞄からスタンガンを出した。

それを父親の首に当てスイッチを入れた、「バチチチッ」と音がして「うっ」と一瞬父親は声を出したが

その後体を硬直させ動かなくなった、次に母親にも同じ事を行った。

二人共動かなくなったので死んだのかとも思ったが、鼓動も脈もあるので気絶していることがわかる。

僕は二人を先ほどのダイニングまで引きずっていき椅子に座らせて両腕、両足をガムテープで固定して

動けなくした、そして最後に口に小さなタオルを詰めてからテープをした。

そして二人に刺激を与えて起こすことにしたのだった。

二人は目を覚ました。

状況が呑み込めていないようで周りをきょろきょろしていた。

そして僕を僕の横にいるルナを見てなにやら凄い剣幕で訴えている。

もちろんしゃべれないように口を塞いでいるのでうーうーとしか聞こえないのだが

僕はナイフを取り出しテーブルに突き刺す、「どん」それを見て二人は少し大人しくなった

そして僕は話し出す

「僕は貴方達親子がルナに行った酷い仕打ちを聞きここに復讐に来ました」

父親に向かって言う

それを聞くとまた父親は何かを訴える、次は体を使って椅子をがたがたさせて

僕はその姿に苛立ちを感じバットで父親の足を殴った、何回も何回も彼が暴れるのをやめるまで

彼は最初は声にならないような呻き声を出していたが次第に大人しくなりぐったりしている

足の感覚はとうにないだろうし足も折れているだろう

そして僕は

「先に言っておきますが兄は上で死んでいますよ」

その言葉に驚いているかどうかは分からなかった。

母親はただ下を向いていた。

そして僕は父親に向かって聞いた

「なんで実の娘にそんな酷いことができるんだ?」

父親はもごもごと何か言っている、僕の問いに答えようとしているのか

どうせこのままでは話すことも出来ないそれに外して少し騒がれても

外は雨で音をかき消してくれるし隣の民家までそこそこの距離もあるから

問題ないと考えていた。

そして僕は口にしてあるテープを剥がす勿論一言そえて

「騒いだら次はその腕をバットで潰しますよ」と

外してやると父親は騒がなかったが僕を睨めつけてこういった

「なんでこんなことするんだ!?」と

まったく自分の立場を理解していないそれは僕が聞いていることなのだ

僕はもう一度父親に聞いた

「なんで貴方は自分の娘に酷い仕打ちをしたんですか」

さっきより語気を強めて

父親は僕が言っている意味は理解していたようだ

何も答えず、ただぐっと下を向いていた。

「別に答えたくないなら答える必要はないですよ

どのみち助ける気はないですから」と冷たく言い放つ

この二人にはもう自分の運命を変えられないことは理解しているようだった

母親は泣いているのかずっと下を向いており、父親も何も答えずこちらを見ていた。

もしこれが命乞いならなんて稚拙で下品なのだろうと思わせることを最後に父親は言った

「なぁサオリもうこんな事はやめてくれよ父さんがわるかった

でもおまえも感じてたじゃないか?二人は愛し合っていただろ?

そうだろ?」と言ったのだ

僕はそれを聞いた瞬間また頭に血が上り「もういい、やめろ!!」と叫んでいた。

そして持ってきていた自動くぎ打ち機を取り出す。

釘はセットしてありバッテリーも差し込んである後はレバーを握れば打ち出される

状態になっている。

それを父親の股間のあたりに押し当て僕がレバーを握った力強く全ての怒りをそこに

集中するように手に振動が伝わる「ガガガガガガッ」と音もして釘が次々打ち出されていくのが

分かる、すべての釘が出尽くすまで僕はレバーを握り続けていた。

父親は最初呻き声をあげるがすぐに静かになり全身の力が抜け落ちたようになっていた

死んでいるかどうかは分からないが下半身から大量の血がでているのがわかる

このままほっておいてもどうせ死ぬだろうと思えた。

そして僕は母親の前に立つ

母親はこの時初めて顔を上げた。

目には涙をいっぱい浮かべていた、特に騒ぐでもなくただ何かを訴えていた。

僕はどうせ死ぬんだから最後に何か言わせてやろうと口のテープを剥がしてやった。

母親は声になるかならないかぐらいの声量で一言「助けてあげられなくてごめんね」と言った

僕はこの時初めて理解した。

確かに父親、兄がルナを襲っていた時に母親の居ない時もあったのかもしれない

でもそうじゃない時もあったはずだ、母親は知っていたので自分の娘が実の父親と兄に凌辱

され続けていたことを、それで僕は母親がこれまで大人しかった意味が理解した

そして一思いにナイフで母親の首を切った、血が噴き出し僕もルナも返り血を浴びた。

これでルナの家族への復讐は終わったがやることはまだまだあった。

このまま放置すれば死体を発見された時にすぐに他殺だとわかるしルナがいない事もわかる

この家族にはここで『全員』死んでもらわないといけない。

僕たちは一旦外に出た、外に出ると丁度雨も上がりかけていた。

そして次の準備にかかる、ルナにはここからは僕一人でやると説得し車で待たせることにした。

ルナも精神的にだいぶと疲れているのかそれには従ってくれた。

まず事前に買っておいたガソリンを家に持っていく、そして家の中、外回り、死体にガソリンを注ぐ

玄関先まで導線を引きそこに火を付けると燃え広がるようにした。

次に死体を縛ったままでは不自然なので椅子から解いて床に転がした。

2階に上がり兄を引っ張り自分の部屋のベッドに移動させた。

そして最後に車に戻り館山さんの死体を運びだし家に戻った。

そしてルナの部屋に入り館山さんの死体をベッドに寝かした勿論その死体にもガソリンをかける

これでこの『家族』はここで焼死体として発見される

詳しく調べたらルナで無い事は分かるだろうでも少しでも時間が稼げればいいのだ

この復讐が終わるまでの時間が、そして僕は外に出て玄関に立ち持ってきていたマッチを擦って

それを落とした、火はガソリンに引火して部屋の中に炎が走りたちまち燃え広がった。

僕はすぐ車に乗り込み発信させた。

あれから1時間ぐらいたっただろうか僕達は小高い丘の上に来ていたここからルナの家の方を見ると

明るく赤く光っていた、「ウーカンカン、ウーカンカン」と消防車が走る音が聞こえる

誰かが火事に気付き通報したのだろう、これでどれだけの時間が稼げるかわからないが

「綺麗ね」とルナが呟く、僕も「そうだね」と答えた

空は命の灯が燃えるように赤く染まっていた

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