第22話

かなりの時間を要して、戻ってきた姉妹。

朋子は部屋着そのままだが、明子ちゃんはラバースーツに着替えていた。

そのラバースーツの色は黒。

妖艶さを醸し出す黒光りするマネキンに亮は自然と立ち上がり、吸い寄せられていき間近で凝視し、ゆっくりとその体に触れた。


立ち上がった亮のズボンの股間にはしっかりとテントが張られていた。


「亮、これねぇ、3枚重ね着してるだよ!」

明子ちゃんの声は明るいがかなりくぐもっている。

「ええ、そうなの?」

驚く亮に、「触って触って!」と自らの体を差し出す明子ちゃん。

体を触って喜ぶ彼氏と、体を触られて喜ぶ彼女、2人の時にやってくれればいいのだが、もう俺と朋子の存在は彼らには頭にないようだ。


朋子は疲れた様子で俺の横に座ると「今日は早く寝ようね」と言って、俺の肩にもたれかかってきた。



明子ちゃんはテンション冷めやらぬ感じで、並べられたストッキング素材を手にして気づく。

「あ、ラバースリーピングバッグで真空パックしてない!」

周りを見渡し自分が真空パックされたスリーピングバッグがない事に気づく。


「スリーピングバッグなら、私の寝室にあるよ、スーツケースと一緒に」

そう朋子が声をかけている途中で、明子ちゃんはスタスタと寝室の方へ向かっていった。

「あ!」

朋子が何かに気づいて、明子ちゃんの後を急いで追う。

寝室の方から朋子の声が聞こえてきた。

「見つかったぁ!」

それを聞いて俺も気づいた。

朋子が黒と赤のスリーピングバッグをそのままにしていた事を。


「じゃあ〜ん」

ラバースリーピングバッグを3つ手にして、スキップするように現れた黒光りするマネキン。

それとは対照的にガックリ肩を落とし疲れた様子でマネキンの後ろについて戻ってきた朋子。


もう、この後どうなるか、3人は分かっていた。

その中で期待するのはただ1人、そして明太子になるための試着をみんなで手伝う事になるだろう。


俺の横に座ると独り言のように呟く朋子。

「明ちゃん、昔から私より体力あるし、私を全部上回ってるんだ、まさか変態度合いまで上回っているとは思わなかった」と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る