第20話

帰宅した後、バッグから彼女たちを出す。

職質というトラブルもあり、バッグの中の布団圧縮袋にも空気が入り、真空パックされていないのでバッグから出すのにも苦労した。


バッグから出た赤いマネキン2人は、足や腕をさすっていた。

買い物をしてすぐに帰ってくるつもりが、以外に時間がかかってしまった。

ようやく立ち上がった2人だったが、汗が足先に溜まり音がするほどになっていた。


もうこの状態では練習どころではない。

シャワーを浴びてから、打ち合わせをする事になった。

ラバースーツを着てスリーピングバッグ、布団圧縮袋の二重に真空パックされ、スーツケースに詰められてきた明子ちゃんの着替えはないので、朋子は自分の下着も着替えも2人分用意して浴室へ向かった。

こういう時は双子は便利だとつくづく思う、まあこんなシュチュエーションは普通の人にはないと思うが……… 。


浴室の方からは2人のはしゃぐ声が聞こえてくる。

明子ちゃんが興奮気味に何か言っているのが聞こえてきて思い出した。

“そういえば、朋子、ラバースーツ重ね着してた“

くぐもった声のまま、浴室に入ったのか声が聞こえにくくなった。

“それにバイブも“と思ったが、姉妹だから俺の危惧するところではないと思い、亮と仮装大賞についての打ち合わせを始めた。


今日買ってきた板台車にロープをくくりつけて、ロープの反対側は棒にくくりつけて、釣り竿に見立てて、カツオの着ぐるみの乗った板台車を引っ張る事に。

試しに板台車にロープをくくりつけて引っ張ってみる。

台車だけだと安定しないので、亮に乗ってもらって引っ張ってみるが上々。


あとは、今楽しくシャワーを浴びてる2人にカツオの着ぐるみを着せて、実際に台車に乗せて問題なければそれで行こうという事になった。


そして釣り上げたカツオを抱き抱えるが落としてしまうのがどちらにするか相談する。

明子ちゃんは朋子よりも体力があるので、釣り上げて船の上で跳ねてもらい、朋子は俺が落としてしまう事になった。

カツオ役の2人がいないまま、男性陣だけで勝手に決めてしまった。


もちろん、朋子は大丈夫だと俺は確信している。

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