第15話

『ピンーポン!』

来客を告げるインターホン。

今日は来客の予定も宅配が届く予定もないはず。

取り敢えずインターホンに出てみる。

「こんにちは、亮です!」

確かに画面に映っているのは亮。

“でも、なぜ?そして、なぜこのタイミング?“


冷静を装って亮に聞いてみる。

「はい、今日はどうした?」

「練習ですよ、練習!週に1回、大和さんちでする事決めたじゃないですか」

「明子からも朋ちゃんに連絡しましたよ」 

朋子も俺も練習という名目でラバープレイを楽しんでいた。

「そうだった、すっかり忘れていた、悪いんだけど、部屋の中をチャチャと片づけるからちょっと家の前で待っててもらえるか?」

そう言うと亮の返事も聞かずに、1階のエントランスの扉を開いて通話を切った。


俺は慌てて寝室に戻り、バキュームベッドからカツオの着ぐるみを引っ張り出し、バキュームベッドをクローゼッへ放り込む。

そして、気づいた、俺もラバースーツ着てる!

慌ててラバースーツを脱いで、部屋着に着替える。


そして考えた俺の部屋はマンションの15階、そしてエレベーターからも一番遠い角部屋。

エントランスから順調に来ても、5分以上はかかる。

そんな事を考えながら、リビングもササっと片付ける。

部屋の直接のインターホンはまだ鳴っていない。


寝室に再び戻り、カツオの着ぐるみから朋子を引っ張り出す。

朋子は逝った後、眠ってしまったようで、全く起きない。

赤いスリーピングバッグの真空パックを解き、脱がせていく。

続けて、黒いスリーピングバッグの真空も解いて脱がせた。

ラバースーツは重ね着のままだが、もう流石にこれ以上は亮を待たせられない。


玄関へ向かう途中、浴室のタオルを取って顔から吹き出した汗を拭いて玄関ドアを開けた。

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