第11話

そのまま、それを朋子の顔へと被せる。

当然の事だが、スイミングキャップに穴はあいていない。

朋子が呼吸する度にスイミングキャップは収縮と膨張を繰り返す。

スイミングキャップの赤とラバースリーピングバッグの赤が近い色で違和感がなく、一体感がある。

見た目は無機質で到底、人には思えないこの赤いラバー製の彫刻は空気を求めて蠢く。

しかし、その無機質なものの下には全身ラバーを身につけ、圧迫に耐え、さらには呼吸さえも制限された朋子がいるのだ。


そう考えるだけで、堪らなくなり勃起してくる。

しばらく、傍観していたが触れたくて仕方がない衝動に駆られる。

俺がベッドに飛び乗った時、ベッドのヘッドボードから何かが落ちた。

それは朋子に使うバイブのリモコン。

さっきまではなかった。

試しにスイミングキャップで空気を求めて蠢いている朋子の股辺りに近づけてスイッチを入れてみた。


バイブの音は聞こえないが、すぐに朋子の反応が変わった。

「あ、ちょっと大和、ダメ、今はダメ、止めて」

なるほど、バイブは朋子の中に入っているようだ。

俺は朋子に添い寝すると、腕と足を絡めて体が動かない様にハグをする。

「え、ちょっと大和、ホントにダメ、ダメ、逝っちゃうから、お願い止めて」

俺は聞こえないフリをしてそのままギュッと抱きついて離れない。

先ほど俺が触った時よりも呼吸が苦しく、快感の中で激しく蠢いているので、朋子の熱がすごく伝わってくる。

「もうダメぇ……逝く、逝く、逝く………逝くってダメ壊れちゃうぅ、逝くぅぅぅ」

大きな声を上げた朋子は大きくビクッとした後、動かなくなった。


収縮と膨張が繰り返されるスイミングキャップを外してやると、新鮮な空気を求めてマイクロホールマスクが収縮、膨張を繰り返す。

マスクからは「はぁ、はぁ、はぁ」と朋子の荒い呼吸が続く。

「もう、大和のバカぁ!」

そう言いながら、全身で抱きついた俺を振り解く事なく、むしろ自由の利かない体で精一杯擦り寄ってくるところが、また可愛い。

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