第5話

全発表者が半円状に並んで結果発表を待つ。

カツオと明太子を演じた女性の顔をようやく拝めると期待していたが、それは呆気なく裏切られた。

明太子、カツオから出された姿のままの女性たちは30番の札前に体育座りしたように縦に並んて座っている。

隣の29番の男性が興味本位で話しかけている姿がカメラに一瞬映っていた。


となれば気になるのは10番の札の釣り人の男性たちだが、彼らは彼女たちが入っていたカツオの着ぐるみを持って縦一列に並んで大人しく結果発表を待つ。


仮装大賞の結果発表より気になる事は彼女たちの事、細かく説明しなくても分かると思う。

おそらくだが、彼女たちは仮装大賞が始まる前から準備にかかり、ラバーのスリーピングバックに入って真空パックされ、カツオの着ぐるみに入り跳ねる演技をした後もスリーピングバックから出る事なく、今度は少し黒ずんだ赤い魚卵の塊の袋の中へ入り、さらにスケトウダラの腹の中で出番を待っていたのだろう。

真空パックされているので、中は汗だくで大変な事になっているに違いない。

途中で真空を増すために吸引を行えば、彼女たちの汗もかなり吸っただろう。

なぜ、彼女たちは敢えてこんなキツい出し物を選んだのか?

いや、もしかすると極度の拘束、ラバーフェチの女性でこんなキツい状況でも快感の中、人前に晒されている事で汗以上に愛液が止めどなく出ているのかもしれない。

仮装大賞でここまで妄想させてくれる彼女たちはすごいと思った。

いや、俺の妄想が酷いだけか。


結果発表が始まる。

【カツオの一本釣り】は3位入賞で男性2人はカツオの着ぐるみを投げて大喜びする。

別の場所に座ってはいるが、彼女たちもその場に立って一緒に入賞を喜んだ。

彼女たちの前には釣り人が投げたカツオの着ぐるみが飛んできたので、自ら進んでカツオに入ると床を跳ねて、喜びを表現する。

釣り人の男性が審査員から表彰されて戻ってきても、カツオの着ぐるみに入ったまま。


彼女たちだけの【明太子ができるまで】の入賞はなかった。


結局、番組のエンディングまで、彼女たちはカツオの着ぐるみに入ったままでとうとう番組は終了してしまった。


彼女たちの仮装大賞の裏側に密着してみたいと思った。



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