第3話

すごくそそられる仮装が繰り広げられ興奮冷めやらない。

続けて、興奮する仮装を期待したが、後続は本来の仮装に戻り、期待する度に裏切られを繰り返しているうちに終わりに近づいてきた。

最終の発表者となった。


【30番 明太子ができるまで】


先ほどのカツオ同様リアルなスケトウダラが出てきた、しかもデカイ。

スケトウダラのお腹がパックリ開くと、少し黒ずんだ赤い魚卵の塊が二つ転げ出てきた。

こちらもリアル、あの魚卵の塊をまた女性が演じているのではと想像するだけで興奮してくる。



二つの魚卵の塊はウネウネと動いて、手前に用意されていた大きな箱に飛び込んだ。

その箱の中には赤い塗料が仕込まれていた。

二つの魚卵は箱の中で互いに擦れ合い、寝転び黒ずんだ魚卵の塊がどんどん鮮やかな赤に変化していく。


塗料が容易に付着するところを見ると、明太子を覆っている素材はゴムやビニールではなさそうだ。

見ているこっちが魚卵の塊を演じている人たちが塗料で呼吸穴を塞いで窒息したりしないのか心配になる。


そして、鮮やかな赤色になった二つの魚卵の塊は審査員の手前に用意された浅い箱に飛び込むと箱の前の紙がはらりと客席に見えるように垂れた。

そこには【明太子】の文字。

鮮やかな赤に染まった二つ魚卵は箱の中に並んで横たわり、大人しくなる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る