善悪の判断
第9話 灰色に霞む日常ー壱ー
長い1日が終わった。
人生で1番長い1日だった。
そして今日から学校が始まる。
一人暮らしの家で、登校の準備を進める。
両親は俺が幼い頃に、事故で死んだと婆ちゃん爺ちゃんから聞いている。
高校生になったら一人暮らしをしていいと言われていて、今年から念願の一人暮らしが始まった。
そして今日が待ちに待った初登校日。
つけっぱなしにしていたテレビから、ニュース速報が耳に入る。
『今日未明、私立一二三高等学校から煙が見えると通報が近隣住民からありました。消防車十数台によって現在は消し止められています。警察は周りに火の気がないことから、放火の可能性があるとみて調べています。なお、私立一二三高等学校は臨時休校を予定しているとのことです』
やっぱ今日は臨時休校になるか。
それから少しして、スマホにも学校から臨時休校を知らせるメールが届いた。
俺はあの後、変態裸お…神代さんに色々と聞かされた。
「今日あったことは全部忘れろ」
喫茶店で軽くご飯を食べながら、三尾崎と2人きりになった神代はそう伝えた。
だが、忘れろと言われて、忘れられるほどの経験ではない。
全て覚えている。
忘れることが出来ないほどに、明確に、確実に、鮮明に、覚えている。
「今日あった全てのことは、黯の目が上手く処理しておく」
神代は立ち上がり出口に向かう。
「あ、今日はお前の学校が休みになるから、暇だったらまたココに来い」
扉を開ける鐘の音が鳴る。
あ、神代さん金払ってない…
仕方なくその場は俺が2人分だした。
そして現在。
実際に休みになって暇になったし、今朝行った喫茶店にでも行くか。
あと、神代さん金払わずに帰ったから、今朝の喫茶店代のお金貰わないと。
聞きたいこともあるし。
俺は私服に着替え、喫茶店に向かう。
喫茶店に着くと入口の前に、神代さんが立っていた。
「お、やっと来たか。よし、行くぞ」
着くやいなや歩き始める。
「どこに行くんですか?店の中でいいじゃん」
神代は手を横に振る。
「さすがに高校生に2度も奢られるわけにはいかないからな。どうしても奢りたいなら別だけど」
いや、半ば強制的に奢らされたようなものだろ。
「まあ、冗談はさておき、今から黯の目名古屋支部に向かう。お前の今後を左右する大事な会議をおこなう」
吸血鬼の黙示録 雪餅兎 @N-sss20
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。吸血鬼の黙示録の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます