第4話 星の数

「俺は星無しじゃない。今日は休みで、たまたま近くにいただけの黯の眼の一員だ」

「へ〜そーなんだーじゃあ、おじさん強いのー」

七月ななつきは腑抜けた顔でヘラヘラとしている。


「ちなみに星は幾つある」

きっさきが問う。


くろの眼は、星の数によって戦闘能力が示されている。

星の数が多ければ、その分単純に強い。

星の数は0~5個。1個はプロの格闘技選手程の力があり、0個はそれ以下、5個になると個人で軍隊に匹敵するレベルになる。


「5つ。俺の星の数だ」


星の数の多さに身構える2人の吸血鬼。


「まあ、嘘だけど。本当は4つかもしれないし、本当に5つかもしれない。気にするな星なんて飾りにすぎない」


「縛りばり壱式いっしき

右手で構えていた銃を下ろした瞬間、鋒が仕掛ける。


「油断したな」

鋒はニヤリと少し口角を上げ呟いた。


「確かに体が動かんな。だが…」

体を大きく動かし、鋒の技を破る。

縛り針を無理に破ったことで、体の至る所から血がにじみ出るスーツ姿の男。


影守かげもりのおかげか。なんと強引な男だ」

影守という対吸血鬼防術がありながらも、こんな一瞬で…

鋒は内心少し焦っていた。

縛り針には3種類あり、1番拘束力がある壱式をいとも簡単に破られてしまったことを。


「焼き尽くせ…業獄ごうこくほむら

険しい顔つきに変わった七月は、低く落ち着いた声でそう唱えた。


スーツ姿の男は赤黒い炎に包まれた。


「その炎はお前が焼き尽きるまで消えることはない。死ね」


決着が着いたかのように、2人の吸血鬼はその場から離れる。

だが、2人の吸血鬼は知らなかった。

スーツ姿の男が神代かみしろ いただきということを。

星5であり、現役最強であると謳われた男であることを…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る