第4話
サキは連絡船に乗り込み
連絡船で外に出て
青い星をズームアップして着陸地点を探す。
そして、
陸と水の境目に大きな洞穴を見つけたサキは
空気摩擦で連絡船が青白く光ってしまって
星の住民に見つかってしまわないように
バリアを張ると
(此処から洞穴までの距離は
約390,000Kmと言う事は約20秒ね)
その洞穴の中に連絡船を隠す事に決め
洞穴の中へ向け発進した。
洞穴の中に連絡船を隠したサキは
もう一度本当に外気が安全かどうかを
再度確認すると
眼にコンタクトレンズのような
画像変換器を入れ
耳には補聴器のような形をした
音声変換装置を差し込み
首にはチョーカーの様に首に巻き付ける
発声変換装置の
3点セットを身に付ける。
しかし、
まだこの星がどんな星なのか全く判らないし
攻撃されると困るので
物質を瞬時に消滅再生させる事の出来る
オカリナのような形をした
サイクル銃をバッグの中に入れて外へ出る。
「あっ!塩辛い!!!
水ではなくてやはり海水なのね!」
少し水を被ったサキは水だと思っていた物が
塩水だと言う事に気付く。
サキは画像変換装置が明かりを
増幅してくれて、何とか感じる
微かな明かりを頼りに洞穴からでて
崖を登り始めた。
しかしその頃ジブ星では
輸送船が忽然と消えてしまっていた事に
大騒ぎをしている。
事故調査委員からの取り調べに監視員は
「輸送船への出入口は
勝手に人が入らないように
私がいつも監視しています。
中から二人で出て来た整備士の内、
一人が怪我をしていたので
私と整備士の2人で怪我をした整備士を
医務室へ連れていく事にしました。
輸送船は整備途中と言う事なので規定通り
あの整備士しか開ける事が出来ないように
整備士が自分のIDカードで
輸送船のドアーを非常ロックしました。
輸送船の入り口への通路の扉と監視室の扉は
私がロックしましたので
誰も入る事は出来ないです」
そう答える監視員に
事故捜査委員の一人が
捜査委員の後ろから耳元で囁く。
「整備士も全く同じことを言っています。
ただ、何処が悪いのか調べる為に
サブパワーを繋いだままなのと、
パワーリング及びエンジン回路が
テスト回路へ
切り替えられたままであったとの事です」
「う~ん……又、輸送船が
暴走してしまったと言う事か……」
「ただ一つ気がかりなのは、
当時工場見学に来ていた女の子が
輸送船の中に居たのではないかと言う事です」
「だが、状況を聞くと、輸送船の中に
女の子が入れる状況ではないだろう?……」
「はいそうなのですが。検証の結果
入る事が出来る可能性は
一応あると言う事です……。
しかも女の子が乗ってきた車
が駐車場に残されていますし、
案内人のタブレットにも
確かに建物の外にいたと言う
履歴が残っています」
「う~ん……」
事故捜査担当委員も
この出来事に困惑しているが
結局、
輸送船が何処にもなく物証が取れないので
未解決として
ひとまず表立っての捜査は終了するが
捜索は続ける。
その後の対策として整備途中で
宇宙船から離れる時は
サブパワーやテスト回路は切り離す事
と、成っているが、これを更に徹底する事。
それに合わせて、
見学者が勝手に移動出来ないようにする。
と言う事で今回の事件は一応終わる事となる。
しかし終わらないのはサキの親達だ。
工場見学のイベントに参加したまま
帰って来ないサキを探してくれと
警察にも捜索願いを出すが
何処を探しても痕跡の無い輸送船に
警察も打つ手が無かった。
「宇宙船のイベントに行くと言って
サキが帰ってこないのは
消えた輸送船に乗っていたからだろう……
偶然にしては
あまりにも出来過ぎている?……」
リユウはサキが調査委員の輸送船に
乗っていたのかもしれないと言う発表に
輸送船に乗っていたのかも、ではなく
乗っていたのだ。と思っている。
「でも、係りの人が見張っていたけれど、
誰も輸送船の中へは通していないと……」
パルマは気が気ではない。
「しかし、本当に輸送船に乗っていなければ
もう帰ってきているはずだ。
帰って来ないと言う事は、
あの輸送船に乗っていたのだと思う……
輸送船はワープが上手く出来ないと言う事で
修理中だったと聞いている。
部品はまだ交換されていなくて
壊れている部品を取り外す途中だったらしい
ワープが出来ないと言う事は
必ず何処か近くにいる筈だ……
しかも、あの輸送船は私が乗っている
輸送船とよく似たタイプだから、
もしもサキが乗っていたら操縦して
帰ってくることは可能だと思う。
いや!絶対に帰って来るはずだ!」
「そうですよね……」
リュウの言葉にパルマも同じ思いだ。
そしてリュウは消えた輸送船を見かけたら
連絡してくれるように、知り合いの
パイロットたちに頼み込んで回っている。
その頃サキは洞穴を出て崖を登っていた。
そして、何気なく海を見ていた中年の男性と
中年の女性がサキを見つけ
サキの姿に驚いているが、
二人はサキが崖下に落ちたのだと思う。
男性が心配をして声を掛ける。
「あっ!大丈夫ですか!」
「は、はい。大丈夫です」
優しそうな中年の男性に
優しい声を掛けられサキは
この星の住民に攻撃性は
ないようだと安堵している。
サキの姿に驚きながらも
男性と女性が二人で
柵の上からサキの手を取り
道路へ上げてくれた。
「ありがとうございます」
サキが嬉しそうに言うと
「お元気そうで良かったです。
どうされたのですか!」
「はい……柵の向こうに
落とし物をしてしまいました」
サキは咄嗟に言葉を選んだ。
続く。
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