第3話

 そしてその頃、

今度は監視員が整備士を連れて帰り

4の46のドアーを開けるが、

連絡橋の先に居る筈の輸送船が無い事に気付く。


「あっ!輸送船が無い!?」

監視員と整備士は頭の中が真っ白だ。


 そして案内人がタブレットを見ると

警告は消えサキの居場所も消えていて、

案内人はただこの事実に呆然と立ち尽くしていた。


 そしてその頃、

静かになった輸送船に気付いたサキは

操縦席の窓から外を見るが真っ暗で何も見えない。


(何がどうなったの?……

とにかく外部と連絡を取らなくては!)

サキは連絡を取ろうと輸送船から何度も送信するが応答がない。


(応答がないわ!……どうしょう…………)

なすすべもなく泣きそうになりながらも


(メーンスイッチを入れると動いてしまう

この輸送船を何とかしなければ)

そう考えたサキは非常用の副操縦室へと向かう。


(大丈夫よね……あちらの操縦室と、こちらの操縦室は別回路だから、

今みたいに動き始めると言う事は無いと思うのだけど……)


 非常用の副操縦室に入ったサキは

恐る恐る操縦席のメーンスイッチを入れると

操縦席前の計器は全て動きだしたが待機状態で居る。


(あ!良かった!こちらは正常に動いているわ!)

サキは何がどうなっているのか知りたくて表示する様に指示を出すと、


パワーリングの個体パワーバランスが合っていない。

パワーリングの全体の動的バランスが取れていない。

メイン電源へサブパワーが接続されたままになっている。

パワーリング及びエンジン回路がテスト回路へ切り替えられている。

リモコン信号を確認できない。

入り口のドアーが非常ロックになっている。

と、画面と音声で回答を得た。


(あ!そう言えば整備中ってメーンスイッチに張り紙がしてあったわね……

でも、整備中に人が居ないのであればサブパワーは取外してある筈だし、

テスト回路は切断してあるのではないの???


それと、非常ロックが掛かっているのでは

全てのドアーが開かない筈だわね……


でも、長さ6メートル直径2.5メートルの

連絡用の小型船で外に出る事は出来るわね……)

そう気付いたサキは、とりあえず外へ出てみる事にする。


しかし連絡用の小型船で船外に出るが真っ暗闇だ!

(えっ!今はお昼なのにどうしてなの???)

サキは何がどうなっているのかを問うが、


返答は、

此処の座標はデーターが無いため不明。

此処は直径3,500㎞ほどの星の地表上で空気も水も無くて、

外気温は―200度の場所に居ると言う事が判った。


(えっ此処の座標が判らない!?

空気も水も無い!外気温が―200度!

何処かの星に居る???ワープは出来ない筈よね?

なのに私は今、何処の星に居るの???

でもこれでは連絡船から外に出る訳には行かないわね……)


仕方がないのでこの輸送船を何とか出来ないかと思い

輸送船の中へ戻りパワーリングの設置してある部屋へ行く事にする。


 しかしパワーリングの設置してある部屋に入ると血痕がある。

「あっ!これは!」

(これは誰かが怪我をして整備の途中って事なのね……


しかもパワーリングの部品が目で見て判る程位置がずれているし

ボルトも折れている。これではパワーリングは上手く回らないわね。

それに見た所、部品交換は未だ終わっていないし交換部品も置いていない……)


状況を把握したサキは、今、此処で輸送船を修理する事は出来ないと思い、

何処かで部品を調達する事を考える。


 副操縦室に帰ったサキは

(どこか近くに部品が調達できそうな所は無いの?)

と、取り合えず探査機を打ち上げてみる事にする。


(このスイッチが探査機打ち上げのスイッチだったわね……)

サキがスイッチを入れると打ち上げられた探査機は

直ぐに状況を送信して来て画面に映し始めた。


サキが探査の範囲を広げると390,000Km程の直ぐ近くに

青く輝く綺麗な星を見つけた。


「あら!あれはどう見ても私たちのジブ星じゃない!?

でも座標が無いってどう言う事???」

探査機によると水も空気もあって、気温も25℃湿度65%と

自分たちの星とほぼ同じだ。


(えっ!……

あの星は確かに私たちの星だと思うけれど?……

違っていたら怖いわね。

取り合えず、探査機で星にどんな生物が居るのか見てからよね……)


サキは探査機を青く輝く星へ近づけ

どのような生き物が居るのか調べさせる。


送られてきた画像を見るとサキと同じ格好をしている人間、

そして鳥や魚など見た事のある生き物がいるし、

植物も生えている事が判った。


「あ!歩いている人たちの服装は

ミカラ星の人たちとよく似た服を着ているわね。


でも見たことも無い服装をしている人も居る!?

色々な星の人たちが集まって居る星なのかも?


確かに私たちの星ではないけれど、とてもいい星じゃないの。

あの星へ行けば部品が手に入るかも……で、あの星の座標は?」

サキが座標を表示させようとするが

データーなしの為、表示できませんと出る。


(あ!データーが無いって言っていたわね……

目の前に有るのに何故なの?

座標が無いとジブ星へも帰れないじゃ~ないの?……


仕方がないわね……

取り合えず、あの星の言語を解読してから手動で行きましょう)


サキは言語解読をする様に言うが、

言語解読中と出てから中々言語解読終了が出ない。


(あら!?解読に時間が掛かっているわねぇ~?……)

いつもならあっと言う間に言語解読終了のアナウンスが有るのに

アナウンスが無いので心配していると、

暫くして言語解読終了のアナウンスが出た。


(あ!良かった!時間は掛かったけれど解読は出来た様ね。

では早速、あの星に行ってみましょう。

修理の部品が手に入ると良いのだけれど……)


サキは小型連絡船で

青く輝く星へ行ってみる事にする。



     続く。

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