第3話

「はじめまして。ドラムのユウタです。」「ギターのカナデです。」「ベースのリンです。」「西村スミレです。よろしくお願いします!!」始まっていくんだ。私のバンドが。私の歌手人生。私たちはスタジオに入って曲を作ることになった。「歌詞は考えてるんです。付き合っているけど、本当は別れたい女の子の話で。」カナデさんがアコースティックギターを弾く。「こういうコードはどう?」「良いですね。」カナデさんが弾くコードに合わせて歌ってみる。バンドメンバーとの親睦会は居酒屋で行われた。「それでは、皆さん、かんぱーい」乾杯の音頭を取った。これからバンドで仲良くして、みんなでツアーとか回って、ブイログとかとって~。想像するだけでわくわくしてくる。私はユウタさんに話しかけた。「よろしくお願いします!」「よろしくね!」ドラムのユウタさんは明るく言った。次にギターのカナデさんに話しかけた。「よろしくお願いします!」「あ、はい…。」カナデさんはちょっと暗い。最後にベースのリンちゃんに話しかける。「よろしくお願いします!」「どうも…。」なんか盛り上がらないな~。もっとみんなで楽しくしたいな。リンちゃんは、好きな曲とかあるの?「ありますけど。それが何か?」なんか冷たいな~。私たちはレコーディングをしてCDができた。売れるのか心配だったけど自分の曲ができたことが嬉しかった。CDを家で何度も何度もかけた。私の声がきこえてくる。

CDは売れたみたいで、ツアーを回ることになった。夢見ていたツアー。その名も『音に乗って飛んでツアー』だ!「移動はお金がないので車になります。」「えー!」とみんな。「私グランプリ取ったのに…」私はぼそっと呟いた。「まあまあ」と安田さんは苦笑いをした。車に乗りこむ私たち。しょうがないから、みんなで仲良く行こう、そう思った。「お菓子食べる人―?」「はーい」「ほれ、チョコ。」「投げてー。」「私の好きな曲かけていい?」「えー今俺が選んだ曲かけてるのに。」「じゃあいいよ。」いざ出発してみると旅行みたいで楽しいかも。「5時間かあ…長いなあ。」カナデさんがそういうと、安田さんが「途中トイレ休憩しますよ。」と言った。「それ当たり前だから。」とカナデさん。揺れている車。私は窓の外を見た。高速道路は同じ景色をびゅんびゅん流している。たまに通り過ぎる町。これから行くところはどんなところなんだろう。そこで私たちを待っている人たちがいるんだ。嬉しいな。気が付いたら流れている音楽に合わせて鼻歌を歌っていた。ふと横をみると、カナデさんは眠ってしまっていた。


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