第2話

私も何かしなければ。私は歌手オーディションを調べて、片っ端から受けまくっていた。努力もむなしく、なんの音沙汰もない日が続いた。そうして、月日が流れた。気が付いたら高3になっていた。やっぱり無理なのかな、歌手になりたいなんて夢。叶いっこないんだ。同世代の子たちは毎日呑気に遊んでいる。学校帰りにカフェによったり。そんな中、私だけ頑張っているというのも、しんどかった。諦めようかな。全然受からないオーディション。こんなことを繰り返して、ばかみたいじゃん。とふと思う。だけど。諦めたくない、全然諦めていない自分がどこかにいる。そんなある日、一通のメールがきた。「最終選考に残りました。最終面接にきてください。」こんなこと、初めてだ。面接官の前で歌う。私は目を瞑った。広いホール。大勢の人、人、人。歓声に包まれながら歌い始める。私の声はどこまでも伸びていく。きいている遠くの人まで、届け。届くんだ。私の声は。歌い終わった。「ありがとうございました。」と審査員。数日後、一本の電話がかかってきた。「グランプリ、おめでとうございます。」え…。私が。グランプリ。確実に夢への切符を手にした。そうわかった瞬間。私の夢がかなっていくんだ。これから。心臓が飛び出しそう。どうしよう。私の夢が始まっていく。「ありがとうございます!」嬉しい。今から取り消しなんて言わないよね?後日、マネージャーと会うことになった。「担当の安田です。よろしくお願いします。西村さんの活動をサポートしていきます。」と彼女はいった。「どのような活動をしていきたいですか?」「ツアーとかして!武道館でライブやりたいです!」「良いですね。その夢、一緒に叶えていきましょう!」「はい!」私が19才の時だった。「バンドとかはどうですか?」といわれた。よくわからないけど、バンドかあ・・・なんか楽しそう!「やってみたいです!」

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