第14話ブレ球
準々決勝
---久々だなぁ長嶋君。
何と次の相手は長嶋が昨年戦った相手同士のペアだったのだ!
---1回戦3回戦ではお世話になりました。覚えてるよな長嶋!
---え、誰?
---ほら、去年シングルスで負けた2人さ
---お前は黙ってろ!まさか、ダブルスでも戦うとはな。まさか、リベンジの機会をくれるなんて思ってないから、興奮しちゃってるよ!
---え、過去に勝ったことある相手?
落合はまさかの相手に喜んだ。
---相手の弱点は?
---わからない。戦って勝ったら、すぐ忘れるから。ただ、今からサーブを打つ奴はサーブが得意でもう片方はボレーが上手かった。
---サーブアンドボレーか
落合はガッカリしたが、分析した。
---月、足下に打て!
しかし、落合の読みが外れラリーが続いた。足下は弱点ではなかった。
最初からラリーが続き、ゲームを終えるのに20分かかったがものにした。
---月、この試合ストレートで終わらすぞ。
返事はしたが、内心そんな焦んなくてもいいじゃんと月は思った。
ラリーが続く相手のサービスゲームを奪ったが、自分のサービスゲームを奪われそうになった。今日はやけに暑いな。落合は汗をかきながら思った。第三ゲームもラリーが続いた。点差以上にシーソーゲームとなった。そんな時長嶋はふと落合をみた。長嶋は戦慄した。落合が異常に汗をかいてることに。
---どうしてそんなに汗かいてるの?
---知らねぇよ。そんなことより、目の前の敵を攻略する方法を考えろ!
長嶋は考えた。いや、正確には違うことを考えていた。どうして、太陽はあんなに汗だくだったのか。今日はいつもより涼しいくらいなのに。ラリーが長いから?いや、体力がついてるはず!相手のボールに苦労してる?いや、球だけなら特別変でもない。ってことは体調あが悪いのか?
---太陽、お腹痛いの?頭痛いの?
相手に聞こえない程度に話した。
---なんともない。相手のブレ球を返すのに集中してしまって
---え、ブレ球?2人とも普通の球だけど?
---落合の言う通り!オレの球が揺れているのさ!
---え、普通の球にしか感じなかったけど
---目のイイ奴しか分からないのさ!ブレ球はブレてるが故に中心が捉え難い。中心を捉えるには、より集中する必要がある。
---今の説明でわかった。だから、太陽いつもより汗かいてるんだね。
---いつもより?見てくれてたのか!
---パートナーを確認するのは、当たり前。
---何話してんの?お前ら。敵は目の前だぞ。
と、相手にも伝わるくらい2人の空間が出来ていた。相手のサーブが飛んできた。
---あいつにボールを回すな!太陽に欠けてほしくない!
と、今までで一番大きな声で長嶋は言った。
---そうか、だからってブレが止まる訳じゃないからねー。どんどんブレ球を打つぞ!
と、相手も反撃を止めない。
長嶋も落合も死力を尽して戦った。2人ともどんな相手だろうと、堂々と戦った。しかし、落合の動きが止まり、返すのがやっとの状態になってしまった。
一気に相手が詰め寄ってきている。リードもガシガシ減ってきている。
---太陽どうしたの!相手が迫ってきてるよ!
---月ゴメン、オレもうあまり動けない。
気づいた時には落合は異常に汗をかいていた。落合のフォローしながら、勝てるのか?長嶋は思った。落合のカバーをしながら、長嶋は奮闘したがポイントはみるみる縮まった。そして、ついに逆転され相手のマッチポイントになってしまった。最後の一球にしたくない。そんな思いが長嶋に流れ、最高のショットを放ったが、相手のリリーバーにあっさりボレーで返されてしまった。あと、数センチ長ければ届くのに…。長嶋が空振った。その瞬間、落合が復活して返した。
デュース
首の皮一枚繋がった。まだまだ予断を許さない状況だ。しかし、落合が復活した。
---月お待たせ!長くは持たないけど、少しの間は動ける!
言葉通りだった。連続でポイントを取り試合が終わった。
試合終了
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