第9話内部抗争
クラブのオーナーとコーチと落合は大歓迎だったが、歓迎しないものもいた。その中の中心の1人が月の加入によって大会メンバーから外れた1人だった。その日から月に対する陰口が始まった。しかし、月は陰口を無視し続けた。反応したのは太陽だった。
---秋田に帰れ猿(ボソッ
---誰だ今言った奴!
すぐ振り返ったがみんな知らんぷりだった。
---別に気にしてないから、大丈夫だよ太陽。
---月が大丈夫でも月に陰口を叩かれると数億倍ムカつくんだよ!
初めてだった。自分以外に自分より怒ってくれるなんて。
---言った奴は分かるよ。大野君だよね?
---は?俺じゃねーし。俺だったとしても証拠はあんのかよ!
---証拠はないけど、その声で間違いない
---そんなの証拠になんねーわ。オレを犯人に仕立て上げたいだけじゃね?
---オレも大野が言ったと思う。
---そこまで言うのなら、テニスで決着つけようや。ダブルスでいいぜ!しかも、オレのペアはまだ中1だ。ハンデを貰うぜ
---構わないよ。
---ゲームは全てラブフォーティーから始めるそれからこっちはシングルスコートでやらしてもらう。オレが勝ったら長嶋このクラブから去れ敗けたら質問に何でも答える。
---そんなの不公平じゃねーか!
落合は叫んだ。
---俺のペアの相手は4月に来たばかりの男。中1の津島瀬那
---ぇ、津島だと?
---そうだ驚いたろ!
落合は驚きを隠せなかった。何故なら津島瀬那は去年シングルスでベスト4だったと聞いた。何故ダブルスに彼はシングルスじゃなかったのか!
---長嶋先輩に憧れてダブルスを選択しました。今日は宜しくお願いします!
とんでもない敵だ。1Pはおろか負けることも考えないと落合は思った。
---大丈夫だよ太陽1Pも与える気ないし、勝つから
ゲームスタート長嶋落合ペアVS大野津島ペア
津島は言う通り長嶋のプレースタイルに似ていた。動きがキレイだった。
サーブストロークボレースマッシュ全てが月に似ていて、月と試合してる感じだった。
---ふーん。僕ってああいう風に見えるんだ。ビデオは何回も見たけど、正面ってこんな感じなんだね。
ラリーが続いた月と津島でまるで、シングルスの試合のようで落合も大野も手が出せなかった。時折大野がボレーを決めた。それは不発に終わったが津島が明らかに怪訝そうな表情を浮かべた。
壮絶なラリーが続いた月がポイントを取った。
---津島君、相当手強いね。
月が珍しく耳元で弱音を吐いた。
しかし試合は、動いた。月が攻めたのだ。
---太陽どうすればいい?
---とりあえず津島を狙って打て!いつまでも月の動きは出来ないから。月の動きはたスタミナが必要だ!津島は平均よりかはありそうだが、いつまでもあるわけじゃ無い。大野はそのあとでも、遅くはないはず
---分かった。
その一言が欲しかった。練習ではこういうやり取りがないからだ。これで目の力も発揮できるし、なにより月と試合中にコミュニケーションが取れるからだ。それから、津島を徹底的に攻めた。たまに大野がボレーを仕掛けできたが、得点のチャンスを与えてしまった。と落合は驚いた。津島.が月に瓜二つのフォームや打ち方をしていたのだ。
---彼は見様見真似でここまで来たのかハンパ無いね。
月が初めてハンパという若者言葉を使った気がする。それだけ似てるのだ。
しかし、押されることは無かった。月は逆に押し返した。
試合終了
月は宣言通り相手に1ポイントもあげなかった。
---ここまで差があったなんて。今までの努力はなんだったんだ
津島はうなだれた。
---僕のマネばかりでなくオリジナル技も作ったら?
と、月は両ヒザをつく津島に声をかけた。
---月が後輩に声かけるなんて初めてじゃね?
太陽は言った。
---負けたよ。完敗だ。なんでも聞け。オレは何もさせてもらえなかったけど、質問に答えるくらい出来そうだ。
大野はうなだれるように言った。
---じゃあ、好きな食べ物は?
---月…
太陽は月を止めようとしたが手で制された。
---別にコレで良いんだよ。犯人はわかってるし、犯人捜しをしたいわけじゃないから
テニスの試合楽しかった!
強いのがわかってるから、みんな敬遠して挑んでこない。そんな中、試合を挑まれた月は嬉しく思った。
---試合以外でこんなに興奮している月を見たのは久々だ
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