第5話情報戦


準々決勝

次の相手は背は高いけど、眼鏡をかけヒョロヒョロしてて、なんだかスポーツマンっぽくない感じがした。でもここまで来たってことは、相当強いはず!そう思った。落合は油断なく、勝負した。相手のサーブで始まると、まずは例によって弱点を知るため、前後左右に打ち分けた。しかし、回り込まれ打ち返された。どんなに良いショットを放っても、回り込まれて打ち返された。まさに防戦一方。ラリーも続かない。相手にセットを奪われ、リードをされてしまった。コートを入れ替わるとき、わずかだが、ベンチに戻る機会がある。お互いにスポーツドリンクを飲み、相手は早々に切り上げノートを開いた。こんな所でお勉強か余裕だな。落合はそう感じた。その後もショットを返された。返球時、読まれたというより回り込まれていると感じた。打っても打っても回り込まれて返された。こっちのサーブの時も、コースをついたはずなのに、強いショットで返された。てゆうか今の対戦相手前の試合観に来てなかったか?観客がいて珍しいと思ってよく覚えている。確かあの時もノートを見てなかったか?落合は思い出した。試合中もなんか書いてた。落合はよく見ると、ノートの表紙に何とか研究って書かれてた。よく読めなかったのでハッキリしないが、カタカナ3文字くらいだった気がする。その後もいいショットを放っても、まわり込まれてまるで打つコースがわかってるかのように準備されて打ち返された。再びコートチェンジの機会があった。相手のベンチを見るとノートを見ていた!あのノートに打つ方向とか書かれてるんだ。だから、良いショットを打っても返された。落合はそう思った。どうにかしたいと考えたが、見つからなかった。プレイスタイルを変えるしかないのか。でも、そんな急に変えられないし、自らのフォームも崩しかねない。そんな時隣のコートからスマッシュが放たれたのが、見えた。落合は、思いついた。前の試合で戦った相手のプレースタイルを真似すればいいんだ。完璧に真似ることは出来なかったが、相手は十分惑わせることが出来た。スマッシュ・ポール回し・ライジングショットどれも見様見真似で、オリジナルには到底及ばなかったが、ポイントを取れた。プレースタイルの変更は相手に大ダメージを与えた。そのまま押し切り勝利した。

この試合で相手がやっていた。他の試合を見てみたいと思った。どちらか勝てば、次当たる可能性がある。偵察も含めて、見に行った。しかし、試合は終わっていた。


---え?終わってる?俺らの試合の2時間も後に始まったのに!


落合は思わず声を出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る