第166話大雪
やがて2月に入って1年で一番寒さが厳しい季節を迎えた。大雪に見舞われた日があって、その雪の降った翌朝、私は新聞配達を終えると、朝食を食べ終えて、拭きも降り積もっているので、いつもより早めに家を出て学校に向かった。押しボタン式信号のある横断歩道を渡って、自転車をゆっくりこいでいると、雪でタイヤがスリップしてバランスを崩して倒れた。そのすぐ後ろに車が迫ってきていて、
「ヤバい。轢かれる」
そう思った。幸い車はぎりぎりのところで停まって事なきを得たが、あと少し車がブレーキを踏むタイミンギが遅れていたら、私は確実に轢かれていた。私は転倒したはずみで左腕を強打して、かなり痛みがあったが、幸い骨折などはしていないようだったので、そのまま学校に向かった。学校の前まで来ると、かなり急な坂道を登っていかなくてはならないのであるが、雪が積もっているため、なかなか登れずに自転車を押して登っていったのであるが、路面が凍結しているところがあって、そのたびに足を取られて滑る。結局その坂道を上るのに10分くらいかかってようやく玄関にたどり着いて、上履きに履き替えて教室に着いたら、あっという間に始業時間になった。この日は電車も遅れていたり、交通機関にも大きな影響が出たりしていたため、遅刻して来る者が続出。おまけに暖房設備がないため、建物の中とはいえ、相当寒い。実験棟に行けば、実験用に使うガスバーナーを炊いて暖を取ることもできるが、一般の教室だとそう言うわけにもいかない。寒さに震えながらの授業開始であった。授業の合間に外を眺めてみると、深々と雪が降っていた。どちらかと言うと、冬でも温暖な気候の山口県でも、時々興津がマヒするくらいの雪が降ることがあるが、たまたまその日に当たったということだろう。その雪も帰るころにはやんで、晴れ間ものぞいていたが、降り積もった雪が圧雪されて氷のようになって、帰りが遅くなると危険だからということで、部活動は中止となり、早目の帰宅を促された。帰りは坂道を下ることになるので、余計に転倒のリスクも高まるため、用心にも用心を重ねての下校となった。いつもより倍以上の時間をかけて帰宅すると、芯まで冷え切ったからだを温めるために風呂を沸かして、暖かい風呂に浸かって、まずは体を温めてから夕食を食べた私である。
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