第156話バイトスタート

 翌日、学校に行って昨夜の話をすると、清田と佐田は

「すっげぇなぁ。大阪からチャリンコこいで来るんかぁ。めっちゃ時間かかるんじゃないか?」

「大阪からだいたい2週間くらいかかるみたい」

「めっちゃ体力あるんやろうなぁ」

「一人は陸上部、もう一人が柔道部に入ってるって言ってた。じゃから、体力には自信あるんじゃない?」

そんな話で盛り上がってた。そしてあーちゃんからは

「リンダ君って、大阪出身なんよねぇ?でもあまり大阪弁で喋ってるとこ聞いたことないんじゃけど、大阪弁ってどんなんなん?」

て聞いてきた。

「まぁね。俺のおふくろが山口出身じゃから、小さいころから山口弁に馴染んじょったよ。でもね、たまに大阪弁がポロって出るときがあるよ。ここ最近は大阪出身のタレントがよくテレビに出てるから、俺としてはちょっと嬉しいけどね」

その日は大阪の話で盛り上がっていた。大阪に行ったらどこに行ったらいいのかとか、いろいろと教えて、大阪についての見どころなどを教えてあげた。

 そしていよいよ夏休み。夏休みに入ってから私はアルバイトで新聞配達を始めた。どうしても自分用のCDコンポが欲しかったのである。そのため親に

「バイトをさせてほしい」

と言うと、

「今の成績を維持できるのであればしてもいい」

と言うことで、さっそく新聞配達員募集の張り紙をしていた近くの新聞販売店相談しに行って、夏休みに入ったら来てほしいということであった。

 新聞配達のため、朝4時半に起きて、自転車をこいで新聞販売店に行って、配達をやめる先輩について行って、まずはどのルートで新聞を配るのか覚えて、必要部数を覚えていく。夏休み期間中は帰省やレジャーで新聞を止めてほしいというところも多く、新聞を配るにしては最初は少ない方であった。ただ、毎日天気がいい日ばかりではなく、突然雨に降られたり、強風が吹いたり、雷が鳴ったり、なかなか大変な仕事ではあったが、天気のいい日は夜明け前に登ってくるオリオン座やおおいぬ座などの冬の星座を眺めながら配達していた。朝早く起きてきれいな夜明け前の夜空を眺めるというのは、ちょっと得した気分であった。去年は受験でどこにも行けなかったので、今年は母の実家に帰省したら、伯父に海のすぐ近くに住んでいる伯母の家に連れて行ってもらって、海水浴に行くことになっていた。それはお盆休みに入ってからではあるが。

 夏休みに入ってすぐ、清田がプールバックを持って家にやってきた。

「よぉリンダ。これからなんか用事があるか?」

「特にないけど、プール行くんかぁ?」

「おぉ。リンダも一緒にどうじゃ?」

「おぉ。暇じゃし、暑いから行く」

ということで、家から自転車で30分ほどのところにある市民プールへ行くことになった。自転車をこいでいると、真夏のムワーッとした熱風が体全体を包む。プールに着いたころには二人とも汗でびしょびしょになっていた。早速更衣室で着替えて、シャワーを浴びて、プールへ。流石にプールに入ると気持ちがいい。このときは清田のほかにも、佐田と倉田が一緒に来ていて、ビーチボールを使って水球をして遊んだ。4人で結構長い時間泳いでいて、休憩時間になって一旦プールサイドに上がると、暑くてプールに浸かっていたにも拘らず、汗がどっと噴き出してきた。水の中に浸かっている間は冷たくて気持ちいいものであるが、やはり水中でかなり運動しているので、体内温度はかなり上がっているのだろう。結局夕方までプールで泳いで、家に帰るころにはすっかり日焼けして、風呂に入るとヒリヒリしていた。半日プールで泳いでいたのでかなり疲れていたのだろう。食事を済ませた後横になっていたらあっという間に寝てしまった。疲れていたのか、翌日新聞配達に遅刻しそうになって、大急ぎで着替えて新聞配達に向かった私である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る