第154話高校最初のテスト

 やがて中間試験が行われた。高校に入って初めての定期テスト。数学は苦手であったが、英語に関しては中学の時ほど苦手意識はなくなり、中学時代に比べて20点以上点数が向上していた。なんとなくではあるが、英語の基本的な文法などが分かったことが、英語の点数工場の大きな要因であったようである。この試験でいい感触をつかんだ私は、その後英語の点数は70点台から80点台を取るようになっていた。数学は相変わらず平均点当たりの点数で推移していたが、5教科の総得点は英語の点数が向上したこともあり、中学高時代に比べて増えていた。そのほかに専門教科のテストも行われたが、専門教科は私の最も得意な分野であり、常に高得点をキープしていた。そんな私にライバル心を燃やしていたのが清田であったが、清田は数学が得意で、数学では私よりも高得点をマークしていたが、そのほかの教科では私の方が上回っていることが多く、よく私に

「クッソー。リンダに勝てんかった」

と言っていた。まぁ、私の通った学科では1位と2位が飛び滑手成績が良く、3位から10位までは大きな差はなかったのであるが、皆少しでもいい順位をとろうと頑張っていたのは確かである。


 その中間試験が終わって、ほっと一息ついて部活動が再開されて、私もマイコン同好会の部室に行って、ハレー彗星の軌道計算のデータ入力を続けた。マイコン同好会には同じ学科の奥田・河野・かんちゃんが所属していて、4人であーでもない、こーでもないと言いながら信勝は楽しいものであった。そしてわからないことがあれば、パソコンに詳しかった奥田や顧問の先生に聞きに行って、データの入力のやり直しなどを繰り返しながらデータ入力が終わったのが6月半ば。データを入力し終えて、エンターキーを押すとパソコンの画面上で、2062年に地球に再接近したときのハレー彗星の様子が画面上に映し出されていた。ただ、今のような高精細な画面ではなく、映し出された星座の中をハレー彗星が移動していくだけのものであったが、それでも結構楽しめるものであった。PC9801は当時のパソコンでは高性能な部類に入る代物であったが、今、当時のパソコンを写真で見てみると、かなりでかいし、場所をとるものであった。

 ハレー彗星のシミュレーションを眺めていると、遅い時間になったので、パソコンの電源を落として、部室のカギをかけて、鍵を返却して家に帰った。家では私の帰るのがいつもより遅くなっていたので、母が

「交通事故にでもあったんかと思ったじゃないの。遅くなるなら遅くなるで、電話くらいしなさい」

流石に心配かけて申し訳ないと思ったので、この時は素直に謝って夕食を食べて、風呂に入って夜のラジオニュースを聞きながら布団に入って、部屋の電気を消して眠った。その夜見た夢は2062年に現れるハレー彗星を眺めている私であった。今度地球に再接近するとき、私は90歳。元気に暮らしているであろうか。

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