第153話栄養素の測定

 楽しかった2泊3日の宿泊訓練が終わって、家に帰ってのんびり過ごした私。やはりなんやかんやで疲れていたのか、横になっていると爆睡していて、目が覚めたら夕方であった。

 月曜日になって普段通り学校に向かうと、同じ高校に合格した末山が先に行っているのが見えた。はっきり言って先に行くと変ないちゃもんつけてきて面倒なことになりそうだったので、一緒に学校に向かっていたしげに

「ちょっとこっちまわって行こうぜ」

と言って、一つ手前の信号で国道を渡って、末山を追い越した。

「なんであいつがこの学校に受かったんだよ」

と思った。学科が違うとはいえ、同じ高校にあいつがいるというのは正直嫌なものであった。まぁ、なんとか無事に末山に因縁をつけられることもなく学校に着いて、しげとともに教室に入って、まずは授業の用意。その日は学校の敷地で栽培されている大豆の栄養素を測定する日だったので、ホームルームが済むと、実験用の白衣に着替えて実験棟へ。まずは測定用の試薬を用意して、測定を開始。この測定は試薬の濃度がきちんとあってないと正確な数値が求められないので、試薬の正確性が極めて重要な要素となる。この測定が正確にできないと次の実験に進めないため、私はさっさとパスして次の実験に向かいたいと思っていたので、試薬の準備は慎重に行っていた。水溶液の作るのに、薬品を溶かすために、使ったビーカーに残ったごく少量の薬品もきちんと試薬を補完する容器の中に入れてやらないと、正確な値が出ないため、慎重の上にも慎重を期して測定に臨んだ。その結果、私は1回で測定をパスして、次の課題が与えられた。一方で試薬の精製に失敗したものは幾度となくやり直しと言う結果になり、その都度試薬の精製からやり直さなければならないため、1学期の中間テストが始まるころには次の課題をパスしている者、まだ一番最初の大豆の栄養素の測定で躓いている者とはっきりと分かれ始めた。清田も生成に失敗側で、

「なんで俺が作った試薬では、正確な値が出んのじゃろ?」

などと言っていたが、彼の試薬の作り方を見てみると、ビーカーに残った薬品も一緒に容器の中に入れなくてはならないのに、ビーカーの底に残った薬品は洗い流していたのである。そのため、試薬の濃度が薄いため、実際の値よりも低い数値しか出てなかったのである。その点を指摘すると

「なんじゃ、そうじゃったんか~」

と言っていたが、私は

「先生が一番最初に行ってたことじゃん。聞いちょらんかったんか?」

「そんなこと言ってたっけ?」

「言ってた」

そんなこんなで、当然課題の進行具合によって成績も大きく影響されるので、課題が送れているものに対する採点は厳しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る