第152話宿泊訓練パート2

 夜が明けて2日目はオリエンテーリングで、学校から学校発祥の石碑がある市民会館までを歩くというものであった。学校から市民館まで往復10キロほどあるであろうか。まだ梅雨入り前の時期とはいえ、5月も終わりごろになると、かなり暑くなるので、かなり厳しい歩きとなった。まだ学校を出発して1キロ2キロくらいは皆余裕があるが、やがて学校を出発してから1時間くらい歩くと、皆疲れてきたのか、歩くペースが遅くなってきた。途中、子供向けも遊具を備えた子供センターがあり、そこではウォータークーラーが設置されていて、喉が渇いていたので、ちょっと寄り道をしてのどを潤しながら、トイレも済ませて再び市民館目指して歩いて行った。一緒に歩いて行った栗田(かんちゃん)はバテバテで、

「早く帰って寝たい」

などと言っていた。その一方で、女子の田坂(あーちゃん)や佐川(えみちゃん)は元気そのもので、運動部で体を鍛えているだけあって、まだまだ余裕っていう感じであった。私も比較的暑さには強い体質なのか、汗は勝癒えていたが、子供センターで水分を補給したこともあって、まだまだ大丈夫っていう感じであった。

 そして、子供センターを出発して1時間ほどで市民館に到着。学校発祥の石碑の前で、全員で記念撮影して、また歩いて帰るのである。かんちゃんは

「電車に乗って帰りたい」

と言っていたが、歩いて帰るという至上命題が出ており、よほど体調が悪い場合でない限り、帰りも汗だくになりながら歩いて、子供センターで再び水分補給。皆考えることは一緒で、1台しかないウォータークーラーには順番待ちの長蛇の列ができていた。喉を潤して、クーラーのきいた室内で少し休んで、再び外に出ると、ムワーッっとした暑さが身を包む引いていた汗が再びどっと噴き出してくる。子供センターからまた1時間ほどかけて歩いて帰って、学校に着いたころには皆疲れ切っていて、汗だくになったシャツを脱いで選択を済ませると、皆ぐだーっとしていた。流石にい日4時間歩くというのはそうそうないので、体力を使ったんだろうと思う。そしてその日の夜は疲れているので、早く寝ればいいものを、夕食と入浴を済ませると、再びトランプ大会。今度は亀田(かめさん)や藤田(しげ)双子の山辺兄弟(兄貴と弟)たちも加わって、これまた賑やかに過ごして、宿泊訓練2日目の夜は更けていった。そして、最終日は朝食を済ませた後、片付けを済ませて昼前に解散してそれぞれの家へ。この宿泊訓練は闇鍋に始まって、寸劇に肝試しに炎天下の4時間ウォーキングと、いろいろあったが楽しい思い出となった。何より私自身が女子に対して抱いていた心の距離感が縮まったような、そんな気がした。そして家に帰ってラジオをつけると、安全地帯の

「じれったい」

が流れていた。安全地帯と言えばバラード系の曲が多いというイメージがあったが、この曲はポップな感じのする曲で、それまでのイメージとは少し違った感じがした私である。

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