第150話体育会系?

 高校は自転車通学なので、真夏の炎天下では

「暑い暑い」

と言い、真冬の北風が吹き抜ける季節になれば、

「めっちゃ寒いじゃん」

窓と言いながら、毎日毎日自転車をこいでは、30分かけて通学していた。これがちょうどいい運動になったのか、入学してから1か月ほどすると、私の両足にはかなりの筋肉がついていた。そう、通学の途中でかなりきつい坂道があって、そこを上り下りしなければいけなかったので、中学校の時のような、平坦な道をこぐのとは違って、朝から相当な運動を自然とするようになっていたので、このほかに特に運動していたわけではないが、私の得意種目である短距離・中距離に加えて、長距離走でもかなりいいタイムが出せるようになっていた。それは体力測定でわかった荷のであるが、県平均よりもはるかにいいタイムが出せていた。そんな私を見て、体育の桜田先生が

「リンダさぁ、マイコン同好会やめて陸上部に入ったらいいんじゃないか~?」

などと話していたので、先生としては文化部の所属させておくのはもったいないと思ったのであろうか。そう言えば、私が入学して間もないころ、3年生の先輩が私を見かけてラグビー部にスカウトしに来たことがあった。なんでも私の体つきは今でいう体育会系体系らしい。私はラグビーをやったこともないし、ルールもよくわからないのでやんわりと断りを入れると、その先輩は

「ルールなら、俺たちが教えるから、どうしても入らないか?」

と言われたのであるが、やっぱり興味がわかなくて断ると、その先輩は

「いい体つきしてるし、身長も高いので、もったいないんじゃけどなぁ…」

と言って残念がっていた。確かに私が通った高校は、ラグビー部の強豪として知られていて、花園での全国大会の県予選では常に上位を争っていた学校である残念ながら、私が在学中に花園ラグビー場で開催される全国大会への出場は叶わなかったが。


 私は自分が思ってる以上に体育会系の体つきになっていることに少々驚いたが、これがのちに地元企業に就職したときにいい結果を生むことになる。

 その桜田先生が担当する体育の授業は、半分遊びのような感じであった。天気が良ければグラウンドに出て、男子と女子を一緒のチームの混ぜて、4チームに分けてソフトボールをしたり、サッカーをしたり、天気が悪ければ体育館でバスケや卓球をしたり、競技を教えるというよりも、スポーツを楽しませることに徹していた。ソフトボールでは私が強肩ということで、、主に外野を守っていた。ナイスプレーが出ると女子からは

「リンダ君ナイス~」

などと声援がもらえたり、和気あいあいとした中で体育の授業が行われていた。その中でも特に私が印象に残っているヒットが、三遊間に放ったヒットである。サードの守備に就いていた金田がうまいこと捕球してファーストに投げるのが見えたので、私は全力疾走でファーストに向けて駆け抜けた。結果は私の方が一瞬早く駆け抜けたのでセーフ。誰もがアウトになったと思ったという。それを見てみっちゃんが

「リンダ君本当に足が速いんじゃねぇ。アウトになると思ったわ」

と言っていた。私も

「てっきり俺もアウトになると思ったわ~」

と言うと、

「ナイスヒット」

と言ってくれた。私はソフトボールのバッティングで打球が飛ぶ方向はセカンドからサードにかけての方向が多く、よく言われているセンター返しの打球が多かった。そのため私がバッターボックスの入ると、対戦相手は

「リンダシフト」

と後に名前がつく守備体系を敷くようになった。そう、セカンドベースよりに守備を敷くのであるそうなると今度は3塁線が大きくあくので、そこを狙って打ったり、まぁ、対戦相手との駆け引きを楽しみながらソフトボールに興じていた。

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