第138話受験勉強本格化
2学期も半ばを迎えると、クラスの中は受験モードに入る。皆受験に向かって準備に余念がないのである。模擬試験も何度か行われ、受験用の参考書にはここ最近の受験の傾向と、どのような問題が出されやすいのかをまとめたものが配られ、対策と傾向を知ることが出来た。その参考書を頼りに受験勉強を進めていった私である。国語・理科・社会と私の得意分野では今まで習ったことのおさらいをしながら、苦手教科の数学と英語では家庭教師の先生や友達の柳本に教えてもらったりしながら対策をとった。特に数学の公式や英語の文法など、繰り返し問題を解かないとなかなか覚えられないものは、自分が納得するまで繰り返し例題を解いて、対策していった。それと同時に2学期の中間試験も行われる。中間試験では得意教科で取りこぼしがないようにするのと、数学や英語では最低でも平均点を取るというのを目標にして、出題範囲の勉強をして試験に臨んだ。そうすると、数学や英語でも思ったよりいい点数が取れた。これで少しは入試に向けて自信がついたが、この中間試験の出題範囲で習ったことを忘れないようにするために、試験が終わったら参考書を開いて、さっそく問題を解いてみたが、何とか誰にも教えてもらわなくても、自力で解くことが出来た。
そして中y監視県が終わって、10月に入ったある日のこと。理科の授業があるので、理科室に移動しようと、柳本たちと一緒に教室を出ようとしたところ、田伏が何か言っていた。
「俺には関係ないこと」
と思って、そのままやり過ごして理科室に向かって歩いていると田伏が
「コノヤロー。無視しやがって」
と言って、後ろから思いっきり私の後頭部にグーパンチを浴びせてきた。私は不意を突かれた状態になり、よけることが出来ずに、もろにそのグーパンチを食らってしまった。
「1分野か2分野か聞いたのに無視しやがって」
などと言っていた。私は
「はぁ?それがテメェーの人にものを聞くときの態度か?ふざけるな‼‼」
思いっきりグーパンチを食らったので、私の後頭部はかなり痛みが走ったが、殴った田伏本人も一番頭蓋骨の中でも固いところに当たったので、かなり痛かったんじゃないかと思う。私も教えなかったし、他の誰にも必要な情報を全く仕入れることが出来なかったため、学年主任の理科の先生に思いっきり雷を落とされていた。まぁ、学年主任の先生が怒ったのは、違う教科書を持ってきた以外にも、タバコのにおいをプンプンさせていたからで、喫煙についても厳しく詰問されていた。
「お前、タバコ吸ってんじゃろうが。タバコ臭いぞ」
「はぁ?吸ってねぇよ」
「嘘つくな。お前がタバコを吸ってるか吸ってないか、試験紙でお前の唾液調べたらすぐにわかるんじゃからな」
「吸ってたらなんじゃっていうじゃ?あんたには別に関係ない話じゃろうが」
「もういい。お前みたいなやつはここから出て行け」
「はぁ?なんで俺が出て行かんといけんのか?テメェーにそんな権利があんのかよ」
ここで学年主任の意先生は完全にキレて田伏のほっぺたを思いっきりひっぱたいていた。他の生徒からは
「先生、こんな奴なんかほっといてさっさと授業を進めてください」
などと言う苦情が上がり始めた。学年主任の先生は田伏に
「これ以上授業の邪魔すんな。今度授業の妨害をしたらそこら辺におられると思うな」
などと一括して授業は始まった。この授業の後、私は職員室に行って、田伏に後頭部を殴られたことなど、一連の出来事を話した。笹山先生は田伏を呼んで
「あんた、リンダ君の後頭部を思いっきり殴ったそうじゃない。何考えてるのよ。リンダ君に謝りなさい」
「はぁ?なんで俺が謝んねぇといけんのんか」
「私は田伏に謝ってもらわなくて上等です。どうせ本気で申し訳ないと思ってるわけないですから。上っ面だけの謝罪されたって胸糞悪いだけです」
「じゃあ、どうしたらええんかね?」
「二度と授業の邪魔をしなければ、それでいいです。あいつの授業妨害に皆迷惑してるんです。受験に向けた大事な時期に授業妨害されたら、その分受験に不利になるんで」
それだけ言って私は職員室を後にした。田伏は笹山先生からもこっぴどく叱られたみたいで、教室に戻ってくるなり荒れに荒れていた。私たち受験を控えた者にとって、その日一日、1時間が非常に大切なものであって、その貴重な時間をたった一人のために妨害されるというのは、正直腹立たしかった。田伏がこのように荒れるようになったのはそれなりの原因や要因があったのだろうと思うが、だからと言って田伏が行う授業の妨害は許されるものではなかった。教室に戻ってきた田伏はクラスの皆に
「テメェーら受験のことばかり気にしやがって。どうせ俺なんか邪魔なんじゃろうが」
などと言っていたが、自分が邪魔者扱いされていると思うのであれば、何故自分がそう思われているのか考える必要があるのではないかと思う。田伏の家庭環境や、育った環境がどんなんなのかは私たちは知らない。邪魔者扱いされたくなければ、自分がクラスにとって必要な人間だと思ってほしいなら、人に迷惑をかけるようなことを慎めば済むだけの話であって、そう言うことを考えないから、クラスの全員から相手にされずに浮いた存在になってしまっているのである。
それでもクラスの皆から白い目で見られているということを気にしたのか、それ以降目立って授業の妨害をするような行動は少なくなった。相変わらず授業中に出て行ったり、始業時間に遅刻したりではあるが。
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