第137話三者面談

 夏休みが明けて2学期になると、次第に周りも受験に向けてあわただしくなる。みんなそれぞれ、自分の志望校に受かるように懸命になっていきだした。少しずつピリピリした空気が教室の中に漂い始めていた。そんな中、田伏はと言うと、授業に参加したり参加しなかったり。参加しても堂々と居眠りをしていたり、授業の途中でいなくなったり、相変わらず落ち着きがなく、授業の進行を妨害していた。クラスメイト、特に女子からは受験に響くとして、田伏をどうにかしてほしいという声も上がっていたが、先生もやりたい放題の田伏に対しては打つ手がないというのが正直なところであった。そしてクラス会でとうとう田伏に対して非難が浴びせられた。クラス全員の総意として、授業の邪魔をするのであれば、学校に来ないでほしいというものであった。それを聞かされて田伏は

「俺だけのけ者にしやがって。そんなに俺が邪魔なのかよ」

などと言っていたが、これは今までそう言われても仕方がないことをしてきたのが一番の原因であって、先生も

「そう言われたくないんじゃったら、自分の考え方、生活態度を見直しなさい。あんた、このままじゃったら卒業した後に行くところがほんとうになくなってしまうよ」

そう言われると逆切れして

「俺の人生じゃろうが。テメェーらに関係ないことじゃろうが」

と言ったので、先生が

「いい加減にしなさい」

と言って、思いっきり張り手を食らわせた。

「いってぇーな。何するんじゃこのクソババァ」

というので、さらに笹山先生の怒りを買って

「あんたねぇ。進学もしない・就職もしないでどうするつもり一生そんな調子で生きていくつもり?そうやって不良やってられるのも中学卒業までよ。就職したら信用と実力がものを言うんじゃからね。それだけはよく覚えておきなさい」

クラスメイトから。もう二度と学校に来ないでほしい。そうまで言われた田伏であるが、最後まで改まることはなかった。もうこの時期になると、各教科の先生も田伏にかまっていられなくなり、田伏がいようがいまいが、途中で授業をに受けだそうが授業の邪魔をしようが、容赦なく授業は先行していった。

 そして、9月の半ばになると三者面談が行われるようになる。私は地元の公立高校に進路を定めていたので、あまり話すこおてゃなかったが、先生からは

「今のままでは多分受かると思うけど、数学と英語の点数をもう少し上げないとちょっと危ないかもしれないということであった。私が希望していた私立高校は県内の私立高校でも大学への進学率が高い高校で、数学と英語が足かせとなって落ちる可能性があるということであった。やはり数学と英語はどうしても苦手で、どうにかこうにか平均点を取るというのがやっとの状態であった。私の戦術としてはとにかく得意な国語・理科・社会で取りこぼしがないようにして、数学と英語は最低限の得点が取れるようにするものであった。特に私が数学で一番苦手だったのが図形の照明の問題であった。私にとっては何かの暗号かと思うくらい難解な問題で、同じ数学でも方程式や因数分解などは見やすい方だったので、これで少しは数学の得点が稼げるかなと思っていた。

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