第134話呼出
翌日、学校に行って、昼に弁当を食べていると、校内放送で
「3年9組の田伏君。至急職員室に来てください」
と言う呼出があった。私は
「たぶん、修学旅行で金を脅し取ったことがばれたんじゃないか?」
と思っていた。そして田伏が教室に帰ってくると、
「誰じゃあ‼‼。俺が修学旅行で金をパクったってセンコウにチクったやつは」
などと言っていた。私は
「自分で「修学旅行で金をパクった」って言ってんじゃん。バカじゃねぇの」
と思っていた。その田伏が真っ先にチクった張本人として疑ったのが私であった。初日に一緒の部屋で宿泊して、その部屋で1000円を一緒に停まったメンバーから盗ったわけで、その中でもクラスが一緒の私がチクったと思ったのだろう。私は田伏と関わること自体面倒なので、ほっといたのであるが、おそらく2日目に停まったメンバーか、初日の一緒泊まった他のクラスのメンバーから告発があったんじゃないかと思う。田伏は私のところに来ると
「リンダ~。テメェー、センコウにチクったんじゃねぇじゃろうな?」
と言ってきた。私はまともに相手するのもばかばかしいので、
「はぁ?なんで俺がそんな面倒なことをしなければならんのか?第一チクられて困るようなことをしたのは自分じゃろうが。自分のケツくらい自分でふけ」
そう言うと田伏は
「お前じゃないんじゃったら、誰がチクったって言うのか?」
などとぐちぐちしつこく聞いてくるので
「じゃあ、俺がチクったっていう証拠を見せろよ。あぁ?何か証拠でもあんのか?」
と言って凄むと、おとなしく引き下がっていった。自分が人の金銭を盗んでおいて、それがばれたら相手を逆恨みするなんて、バカのやることだし、本当呆れてバカとしか言いようがないと思った私である。
この一件で田伏は厳重注意処分が下された。まぁ、厳重注意されたからと言って、こういった不良と言うか、チンピラがやるようなことをやめることはなかったが。多分、被害金額は10000円を超えていたのではないかと思う。しかし、この事件で田伏の親が謝罪に来ることはなかった。恐らく田伏のことはほったらかしにされていたか、子供のやることに無関心だったのではないかと思う。田伏が他人の金銭を盗んだということは、学校から田伏の親にも連絡が行ったはずであるが、何の行動も示さなかった。もし、仮に私が田伏と同じことをしたら、親は私の顔を2~3発ぶん殴って、被害を受けた相手に対して謝罪させたうえ、被害者全員に全額自分で返済させたはず。私の親は曲がったことや理屈が通らない話が大嫌いで、どのような理由があったにせよこのような悪事を働いたら、私をぼこぼこにするくらいぶん殴ってたのではないかと思う。
ちなみに田伏が被害を受けた生徒全員に盗み取った金銭を弁償することはなかった。
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