第126話不正行為

 この夏休みが終わって、2学期になって席替えが行われた。まずは班長を選ぶということで、自薦・他薦を問わず班長になる者が選ばれた。この中には糸田や末山を中心とする不良グループが集まるために、糸田が班長として立候補して、それがそのまま通ってしまった。糸田の班には末山・市山と言った不良グループが固まって集まっていた。そして、その班の中に私が入り込んでしまった。正直私は

「なんでこんな奴らが集まった班に入ったんだろう」

と、自分のくじ運のなさを嘆いたが、それでも入ってしまったものは仕方がないと思って、諦めていた。それからその日のホームルームで糸田や末山が席替えのくじ引きで不正を行ったということが発覚する。糸田の班のくじを引いた男子に脅しをかけて、くじを取り換えていたというのである。私は

「そんな意地汚い手を使っていたのか…」

と思った。そして糸田の班長としての資格がはく奪され、もう一度班長を選びなおす選挙が行われ、男女合わせて6人の班長が決まり、糸田や末山たちはばらばらの班になって、これ以降、私は糸田や末山と一緒の班になることはなかった。しかし、このことで糸田と末山が私に文句を言ってきた。私が糸田や末山と一緒におりたくないためにチクったのではないかと言うのである。私はこのような不正が行われていることは全く知らなかったので、寝耳に水だったのであるが、糸田たちは私を疑っていたのである。私としては全く知らなかったので、

「そんなん知らねぇよ。なんで俺がそんな面倒くさいことしなければいけんのか?バカじゃないん?」

と言ってその場をあとにした。

 

 2学期早々とんだハプニングに巻き込まれた私であったが、それ以降は比較的落ち着いた日々を過ごしていた。もう人を憎まない。そう心に決めてから随分と心が軽くなったような気がした。

 2年生の2学期ともなれば、そろそろ高校進学と言うのが気になってくる頃であった。このころには私はすでに自分が進学したい高校を決めていて、それに向けた準備をしていたところであった。私が進学を希望している高校は、私の得意な化学の知識が活かせる学科のある学校で、食品に含まれている栄養素の測定や科学の知識が学べるので、それに向けた勉強を開始していた。ただ、例年その学科は競争倍率が高く、定員に対して2倍から2.5倍の応募がある人気学科であった。その難関を突破するためには、まずは科学のさらなる知識が必要なのと、他の自分の得意教科で取りこぼしがないようにすることが大事であった。なので、糸田や末山と言ったあほな連中を相手にしている暇などなかったのであるが、何かにつけて私にちょっかいを出してくるのである。 

 自分の進学先について具体的に決めていたので、自分がこれから何をやらなければいけないのかがはっきりしてきて、それに向けて少し頑張らなくてはいけないなと感じていた私であるが、やはり数学と英語だけは苦手であった。中学2年の2学期ともなると数学の公式も次第に難しくなってきて、なかなか覚えるのが大変であった。理科は得意であるが、理科とも密接に関係してくる数学は苦手いうちょっと変わった生徒だったかもしれない。数学や英語でわからないことがあれば、教科担当の先生に聞きに行ったり、友達に聞いたりしていたが、いまいちわからなかった。そうこうしているうちに中間試験に突入。本来なら勉強に集中したいところであったが、この時期に体調を崩して入院していた祖父の容体が安定せず、時折意識が混濁するような状態なっており、それが気になってなかなか集中できなかった。とにかく試験が終わるまではどうにか持ちこたえてほしいと思っていた。

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