第123話盗難
中間試験が終わると梅雨時を迎えて雨降りの日が多くなる。私は通学カバンが濡れないように大きめのビニール袋を通学カバンに入れて、自転車をこいで学校に通っていた。始めは学校に着いたら自転車の荷台にビニール袋が飛ばないように、ゴムひもで括り付けて教室に入っていたのであるが、授業が終わって帰るときに自転車置き場に向かうと、飛ばないように括り付けておいたビニール袋がなくなっているのである。そう、誰かが盗んでいたのである。そんなことが何回か続いたので、私はビニール袋に着いた雨粒を叩き落して、自分のカバンの中に入れて、教室の中に入るようにしていた。そして下校時刻になって自転車置き場に向かうと、誰かが私の自転車の周りをうろついている。よく見てみると、私のクラスの隣の組の村田と言う不良だった。私が
「俺の自転車の周りで何やってるのか?」
そう問い詰めると、村田は
「別に何もしてねぇよ」
などと言っていたが、明かの動揺していたので、何かおかしいと思った私は
「お前、この前から俺の自転車に括り付けておいたビニール袋を盗んでたんじゃねぇのか」
などとさらに問い詰めると、
「そ、そんなことしてねぇよ」
と言っていたが、動揺した様子などから、村田が犯人であるこてゃ間違いなかった。私は誰が犯人か言わないまま、雨が降ったときに、カバンが濡れないように持ってきたビニール袋が盗難にあう被害が多発していると先生に通報して、見回りの教科を訴えた。それから先生の自転車置き場の見回りの強化が図られた。それ以来、雨が降ったときにビニール袋は、私は自分のカバンにしまい込んで入るようにしていたが、先生の見回りが強化されたからと言って、完全にビニール袋の盗難が防げるわけでもなく、時折、「ビニール袋がなくなった」
という苦情が聞こえてきた。また、このころ、自転車が不自然にパンクしているという事案が各クラスで多発していて、誰がこのような行為をしているのか、私が授業が終わって自転車置き場に向かうと、先ほどビニール袋を盗んでいた村田やそのほかの不良連中が、自分の物でない自転車を物色して、タイヤから空気を抜いているのを目撃した。私はそっと近づいて、
「お前ら何やってんのか」
と後ろから声をかけると、びっくりして
「な、何もしてねぇよ。」
などと言っていたが、私の自転車の空気を抜くのを目撃した私は、先生を呼んで誰がやったのか、覚えている奴の名前をすべて伝えて、厳しく注意をしてもらい、さらには一部タイヤが切り裂かれている事件もあったので、修理にかかった費用の全額を弁償させた。
こういった小さな芽を摘んでいかないと、これがもっと大きな盗難の下地になるわけで、何か物が不審ななくなり方をした場合は、さらに大きな犯罪につながる可能性があるとして、このような盗難被害や器物損壊が発生した場合は、厳しく指導する必要があるように思う。糸田や末山も、始めは小さなことから、他人への恐喝や脅迫、現金を持ってくるようにと脅すなどの行為に発展していったのだと思う。
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