第62話仕組まれた罠
そして、身体測定が終わったら、再び私に対する暴力行為が再発した。私が何か相手の気にそぐわないことをした・言ったなど、些細な理由で私の髪の毛を思いっきり引っ張ったり、渡部や湯川らが
「てめぇーなんかさっさと死ねばええんや」
などと言って、蹴りを入れたり、背中にエルボを加えてきたり、女子とは思えないほどの情け容赦ない危害を加えてきた。
そんなゴールデンウィークを間近に控えた4月の終わり、ある事件が勃発する。湯川の持ってきていた教科書がなくなったというのである。それでクラス中を探すということが行われた。先生も教科書探しに参加。その湯川の教科書は私の机から出てきた。私は激しく狼狽した。私は湯川の教科書を盗った覚えは全くないし、なぜ私の机の中から出てきたのか、まったくその理由がわからないのである。そしてクラスメイトの机の中やランドセルの中を順に確認していく中で、私は激しい動悸を覚えた。
「見つかったら、また後でつるし上げられる」
そう思った。そしてとうとう私の机の中やランドセルを確認する順番がやってきた。
そして見つかった湯川の教科書。裏表紙の名前を記入するところには
「湯川薫」
と言う名前がはっきりと書かれてあった。先生が
「湯川の教科書が見つかったぞ」
と言って、湯川に手渡す。湯川も
「よかった~。見つかって助かった」
と表面上は”いい子”を演じていた。そして、誰が湯川の教科書を隠したのか?ということで学級会が開かれることになった。まず真っ先に疑われたのが私である。私の机の中から出てきたのは事実であるが、私がいじめ加害者である湯川の教科書を盗ったって、何のメリットもないわけで、私は
「俺は湯川の教科書なんて盗ってません」
と伝えたが、渡部が
「リンダ君が湯川さんの机の中をいじくっているのを見ました」
と言い出したのである。それに合わせて清川や久保が
「俺も見た」
「私も見た」
と言い出したのである。私は全く身に覚えがないので全力で否定したが、先生が
「ほかに見た人はいないか」
と言うと、いつもいじめを煽ってる奴らが
「俺もリンダが盗ってるところ見たで」
と言い出して、私が湯川の教科書を盗んで隠したということになりかけた。ここでよく考えてもらいたいのが、私がもしとったとして、それをわざわざ自分の机に隠すか?ということである。こんなことをしたって、私には何のメリットもないわけで、なんでこんなあほなことが起きたのか、理解できなかった。楢崎先生は
「リンダ、本当にやってないんやな?」
と私に聞くと、そうかと言う感じで、もう一度渡部や清川、久保らに
「本当に見たのか?」
と改めて尋問をしていた。そこで手をあげて発言したのが星田と今田であった。
「俺たちはさっきの休憩に時間の間、ずっと一緒に話してて、湯川の机のところに行ってない」
と証言してくれたのである。この時私と星田と今田とゴールデンウィークに何をするかって話をしていたのである。それにいつも私を助けてくれる大森が
「私もリンダ君が星田君や今田君と話をしているのを見てました」
と証言してくれて、一気に渡部や湯川たちの方が形成的に不利になっていった。そして改めて尋問したところ、渡部や湯川たちが仕組んだ罠であったことが判明した。湯川が渡部たちに私を貶めようと提案し、画策した結果なのである。そのことが判明して先生は
「何のためにそんな嘘つくんや‼」
と激怒して、今度は湯川たちが私を貶めようとしたことに対して、学級会が開かれることになった。星田や今田は私と一緒に話していたこともあって、怒りを込めながら「何もやって無いリンダを嘘つき呼ばわりしたのは許せへん」
「お前らの方こそ、やってることが意地汚いやんけ」
と、次々に非難の声を声を上げ始めた。そして、なぜ私を貶めようとしたのかということが厳しく追及された。その理由は、私を騙して私が盗んだことにして悪者にして、追い出そうとした結果であった。私がクラスの中にいられないようにして、追い出そうとしたのであった。私が悪者になれば、クラスの皆が私を追い出しにかかるだろうと考えてのことだったらしい。そのことをすべて白状した湯川たちは当然厳しい制裁を受けることになった。思いっきり怒鳴られて、ビンタを張り倒されて、泣きながら謝ってきた。そして嘘の証言をしたいじめを煽っているクラスメイトも思いっきり怒鳴られて、先生からビンタされていた。
「嘘つきは泥棒の始まりや」
そう言って厳しい表情を浮かべながら怒りの声をあげていた。
しかし、私は恐怖でいっぱいであった。この後で起こるであろう、情け容赦ない激しい罵声・罵倒・暴力を浴びせかけられるのが目に見えていたからである。
そして終わりの会が終わって、私は標的にならないようにするために、すぐに教室を出ようと、先生の後に続いて教室を出たので、この日は激しい罵声や罵倒を浴びせかけられることも、身体的暴力を振るわれることもなかった。この日はどうにか逃げ延びたというのが正直な気持ちであった。
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