第4話 お兄ちゃんついでにアイス買ってきて

 バイトが終わってからスマホを開くと琴音からメッセージが来ていた。


 ことね:バイトの帰りにいつものアイス買ってきて〜バニラ味の!!


 優:(猫が頷いているスタンプ)


 普段バイト中に飲んでいるものをついさっき飲み切ったことを思い出し、妹がご所望のアイスを買うついでにそれも買っておこうと僕はスーパーに向かうことにした。



 スーパーに着き、まずは飲み物を買うために二階へ。僕はバイト中、眠気覚ましにカフェインを摂取したいため紅茶かコーヒーを飲むことが多い。炭酸水とかジュース類とかはバイト中に飲むのは不適当だと僕は思っている。(なおバイト先からは特に禁止されていない) 迷うことなくコーヒーを売っているコーナーに辿り着き、キャラメルラテを手にとって一階のアイス売り場に向かう。


「えーっと、琴音にはいつものバニラアイスを買っていけば良くて······僕もアイス食べたくなってきたし何か買っていこうかなぁ」


 アイスコーナーにはバニラやチョコ、抹茶、ストロベリー、コーヒーなど様々なフレーバーがありどれも美味しそうである。


「うーん······よし、抹茶アイスにしよう」


 僕は自分用の抹茶アイスと妹のバニラアイスを手に取り、レジへの列に並んだ。




「さてさて、無事にアイスも飲み物も買えたし帰るかぁ。外も寒いし······お風呂上がりのアイス楽しみだなぁ」


 僕はそう呟くと、イヤホンを耳につけて音楽を聴きながら夜の街中を歩きはじめた。




 家に帰ってきて手を洗った後、妹にバニラアイスを納品するために僕はリビングに向かう。


「ただいま琴音、いつものバニラアイス買ってきたぞ」


 リビングのテーブルでスマホをいじっている琴音にそう声をかけると、琴音は顔を上げてこちらを見て僕と目が合った。


「おかえりお兄ちゃん! アイス買ってきてくれてありがとう〜」


「どういたしまして。どうする琴音、今食べるか? 今食べないなら冷凍庫に入れるけど」


「んー······お兄ちゃんがお風呂から出たら一緒に食べようかな。お兄ちゃんは自分の分も買ってきてるでしょ? 」


 さすが妹、完全にこちら(兄)の思考が分かっていらっしゃる。


「そう言うことなら冷凍庫にしまっておくよ。それじゃあ僕は今からお風呂入ってこようかな。外寒かったし」


「ありがとお兄ちゃん。少し前にお風呂の追い焚きが終わったばかりだから私のことは気にしないでゆっくり温まってきてね! 」


 琴音はそう言った後カバンからノートやシャープペン、教科書を取り出して勉強をし始めた。もう次の授業の予習を始めるとは偉いな妹よ······。




 お風呂に浸かって身体が温まったのでリビングに戻ると琴音はイヤホンをしながらまだノートにシャープペンを走らせていた。僕がお風呂に入る前は英語の教材を開いていたが、どうやら今は数学の予習をしているらしい。僕は冷凍庫を開けて自分の分と琴音の分のアイスを取り出し、スプーンを持って勉強をしている琴音の元へ向かった。


「琴音、僕はお風呂上がったからアイス食べるけど琴音も休憩がてらアイス食べる? 」


 琴音は顔を上げてようやく僕がお風呂から出ていることに気が付き、イヤホンを耳から外した。


「ちょうど区切りが良かったから今日はこれでもう予習終わりにしようかな。私もお兄ちゃんと一緒にご褒美アイス食べる〜! 」


「勉強お疲れ様。はい、これが琴音のバニラアイスね」


「ありがと〜ってお兄ちゃんは抹茶アイスなんだ······一口ちょーだい! 」


「そう言うと思った······ほら琴音、口開けて」


 そう言って僕は抹茶アイスが乗ったスプーンを琴音の口に突っ込む


「ん!! ······おいひぃ美味しい〜!! 」


「そりゃ良かった」


「じゃあお礼に私のバニラアイス一口あげるよ! ほらお兄ちゃんあーんして! 」


「あ、あーん······」


 開いた口の中にバニラアイスが乗ったスプーンが突っ込まれる。程よい甘さで口の中がいっぱいになる。やはりバニラアイスは王道の美味しさである。口の中のバニラアイスがなくなったので自分の抹茶アイスを食べ始めることにする。

 お互い黙々とアイスを食べ進め、残り半分ぐらいになった時に琴音が今日の出来事を話し始めた。


「今日私の高校って初登校日だったじゃん? 新しいクラスで自己紹介とかレクリエーションとかをしたんだよ〜」


「琴音のことだからあんま心配してないけど、新しいクラスでちゃんと友達できた? 」


「そう!! 私の学校って中高一貫だから高校一年生のクラスは内部進学組と高校入学組が混ざっているんだけど、私の出席番号の前の子がほんっとーに可愛い子だったの!! 」


 ······と少し興奮気味に話す琴音。昔から琴音は人やものに関わらず可愛いものは大好きだったからなぁ······。我慢できずに話しかけちゃったんだろうなぁ。


「ほうほう······んで話しかけてその可愛い子とは友達になれたのか? 」


「それはもちろんだよ! なんなら今日はその子と一緒に帰ってきたからね〜」


「とりあえず琴音には友達ができたようでお兄ちゃんは一安心······」


僕が勝手に安心していたところで、琴音から唐突に爆弾を落とされる。


「早くお兄ちゃんは彼女をつくろうね? 私はお兄ちゃんに一回も彼女が出来ないことが心配で仕方がないよ······あ、私の友達は渡さないからね?! 」


「女子高生と大学生の恋愛とか世間的に危ないんだから言われるまでもなく遠慮するよ······。あと僕の彼女についての話題やめない? 心が痛いよ? 」




 そしてお互いにアイスを食べ終わりそのまま雑談を続けていた時、


「あ、そういえばさ」


「ん? 」


「今日その可愛い友達に琴音ちゃんってブラコンなんだね! って言われたんだ〜」


「ぶっ!! 」


 僕は盛大にお茶を吹きこぼした。




______________________________________

 第四話を読んでいただきありがとうございます!

 琴音ちゃんは無事に高校でブラコン認定を受けました(笑)

 ♡やフォロー、コメントをしていただけるとモチベーションになるのでお願いしますm(_ _)m

 それでは第五話でお会いしましょう!












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る