第3話 お兄ちゃんは友達をつくりたい(琴音視点)

「······」


 どうも、妹の琴音です。今私の目の前で腕を組んで真剣に何かについてずっと考えているのはお兄ちゃんの優です。お兄ちゃんとずっと過ごしてきましたがここまで長く何かを考えているお兄ちゃんを見るのはかなり久しぶりな気がします。覚えてる限りでは去年の私の誕生日プレゼントに悩んでいた時ぶりかな?あれ、意外と最近だったかも。あの時は確か恐る恐る私に「琴音、欲しいものある······?」聞いてきたんですよね。悩みに悩んで結局本人に聞いちゃうところがお兄ちゃんらしいです。

 ······そろそろ助け舟でも出してあげようかな。


「ねえお兄ちゃん、さっきから何について悩んでるの?」


「え、僕が悩んでいることなんでバレてるの? 琴音ってもしかしてエスパー?」


 いや、めちゃくちゃ分かりやすかったよお兄ちゃん。あと私はエスパーじゃないよ。


「バレバレだよ。それで、何を悩んでるの? 私が相談に乗ってあげようか?」


「うーん、じゃあお願いしようかな。というのもそろそろ新入生ガイダンスがあって大学生活が本格的に始まるんだけどさ、友達をどうやってつくろうかなーって······」


「あー、そっか、お兄ちゃん人見知りだもんね······」


 そもそも一人も知り合いがいない場所に行くんだもんね。お兄ちゃんみたいに人見知りだと友達作りのハードルって高いよねぇ······。えっ私? 私は知らないクラスメイトの子でも普通に声かけるよ? 兄妹なのにこういうところは正反対なんだよね。


「ぐっ······悔しいけど正論すぎて何も言い返せないっ······! でも大学の試験勉強とか課題とかが一人だとかなりきついらしいから友達は絶対につくりたいんだ······! 」


「なるほどなるほど、お兄ちゃんの必死さは伝わったよ。じゃあ、今から私と一緒に自己紹介の練習しようか!! 」


「えっ自己紹介の練習? どういうこと······?」


「説明しよう! "自己紹介の練習"とは、もしも友達(仮)からお互いをよく知るために質問をされた時、絶対に言葉に詰まってしまうであろうお兄ちゃんのためにあらかじめ答えを用意しておこうというコーナーです!!」


「琴音······もしかしてきみは天才か?」


 え、私天才? まぁ私頭いいからな〜! 当然だよ!(ドヤァ


「はいはい、天才天才」


「お兄ちゃん、私の扱い雑じゃない?」


 心の中でつぶやいたはずが口に出てたんだ······。


「えーっと、あらかじめ質問の答えを決めるんだっけ? となるとまずはどんな質問について考えようか······」


「私の扱いについてはスルーなんだ······。まずは無難に好きな食べ物とかどう?」


「それはペペロンチーノだな。これだけは悩みようがない。」


「これは私もペペロンチーノって答えるだろうなって思ってたよ。じゃあね〜、『休日はどう過ごしてますか?』」


「休日······休日かぁ。勉強したりゲームしたりラノベを読んだりしてるかな?あまり外には出ないんだよね。」


 うーん、これも予想通りではあるかな。お兄ちゃんはインドアというより引きこもり気質だから本当に外に出ないんだよね〜。でも私がお出かけに誘うと絶対ついてきてくれるから私は嬉しいよ! もしかしたらお兄ちゃんは"外が嫌い"とかではなくて、ただ"外に出る用事が無い"だけなのかもしれないね。


「お兄ちゃんはバイトか学校以外だと全然外に出ないよね······。そうだなぁ、”妹とお出かけしている”とか付け足すのはどう? ちゃんと外に出てますよっていうアピールをすることは大切だよー?」


「確かにこのままだとただの引きこもり陰キャだとしか思われないかもしれないな。"妹と出かけてる"は良い案だよ。ありがとう琴音」


 いや流石にそこまでひどい評価はされないと思うけど······まあいっか。


「じゃあさ、休日の過ごし方から派生して、『普段はどんなゲームをやってるの?』」


「僕が最近ハマって遊んでいるゲームは原○かな! オープンワールドRPGが好きで最近ずっと遊んでいるんだよね」


「お兄ちゃんRPG好きだもんね〜 原○なら最近流行りのゲームだから大学でも結構遊んでる人多いと思うし、ゲーム繋がりで交流を深めていくのも良いんじゃないかな? 」


「ゲーム関連の話なら僕も話題触れたりするし会話弾むかも! さすが琴音、やっぱり持つべきは頼れる妹だな」


「それほどでもあるよ〜! じゃあ次の質問行ってみよっか。えーっと『たけのこ派ですか、きのこ派ですか?』」


 褒めすぎだよお兄ちゃん······。じゃあここら辺で”アレ”についても聞いておこうかな。


「待て待て、それ本当に自己紹介するときに聞かれるような質問か??」


「いやいや分かんないよ! 世の中には自己紹介で聞く人いるかもしれないじゃん!!多様性の時代だよ!(?) 」


 ちなみに私はきのこ派です。お兄ちゃん、信じてるからね······? (ジーッ


「きのこ派かたけのこ派か? そんなのーー」


ゴクリ


「”たけのこ”に決まってるだろ」


「よろしい戦争だお兄ちゃんッ! 」


「なんで?! 」




 あれから二時間ぐらい経ったけど、”質問されそうなこととその返答”については大体話し合えたかな? 途中話がかなり脱線していたような気もするけど······気のせいだよねうん。そうに違いない。とにかく、お兄ちゃんは人見知りだけどコミュ障ってわけでは無いからすぐ友だちつくれると思うけどなぁ。友だちづくり頑張れお兄ちゃん!!




______________________________________

 第三話を読んでいただきありがとうございます!

 新しい環境で人間関係を一から構築することって難しいですよね········。私も人見知りをするタイプなので友達づくりはいつも緊張しています笑

 今回は初めての試みで妹視点を書いてみました。

 ♡やフォロー、コメントをしていただけるとモチベーションになるのでお願いしますm(_ _)m

 それでは第四話でお会いしましょう!



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る