第2話 ファミレスに行く

 桜が舞う季節になり、着慣れないスーツに包まれて僕は大学の入学式に来ている。さすが大学、人の数が小中高とは比較にならないくらい多い。当然ながら全学部の新入生が一つの会場に集まっているので壮観である。開式まで少し時間があるが、近くの人が自分と同じ学科とは限らないので人見知りな僕は大人しく開式を待つことにした。


(この人の多さじゃ会場から出るにはだいぶ時間が掛かりそうだな・・・

 このことは先に琴音に連絡しておくか。)




 学長の有難いお話(かなり長かった)がやっと終わり、出口に近い人から順次退場を告げられたところで妹からの返信を確認する。


 ことね:おっきな時計の前にいるね!


 優:わかった。今からそっち向かうけど混雑してて時間かかるからもうちょっとだけ待ってて


 ことね:はーい!でも私お腹ぺこぺこだからなるはやで来てね!(><)


(さてさて、我が妹がお腹を空かせて待ってるから少し急いで向かいますかね。)


 出口へ向かう人の流れに乗り、そのまま会場から抜け出して琴音のいる時計を目指して歩き出した。




 大きな時計が見えてきたところで近くにいるであろう琴音を探し始める。


(琴音は私服だからすぐ見つかると思うんだけど・・・いたいた。)


 僕が目を向けたそこには身内贔屓なしで美少女と言える我が妹がいた。琴音は本当に血のつながった僕の妹なのかと疑ってしまうくらいに美少女である。僕は至って普通の男の子なんだけどなぁ。おかしいなぁ。


(おそらく琴音は高校生活が始まったらクラスの人気者になること間違いなしだな...)


 そんなことを思いながら妹に向けて足を進めていると、向こうもこちらに気づいたようで琴音は笑顔を咲かせながらこちらに向かってきた。


「お兄ちゃん入学式お疲れ様!!早くご飯食べにいこう!」


 相変わらず食い意地を張ってる妹である。


(外見は成長してすごい綺麗な女の子になったけど、こういうところは昔のままで安心するというか琴音らしいというか...笑)


「む、お兄ちゃん何か失礼なことを考えていませんか?(ジトッ」


「いや、オシャレしてる琴音は可愛いなって思ってただけだよ」


「なっ!!!・・・さっさとご飯食べに行きますよ!もうっ!」


「琴音お嬢様の仰せのままに。」


「それちょっといいかも・・・今日のお兄ちゃんスーツ姿だし・・・へへっ」


「はいはい、冗談はここら辺にしてご飯食べに行くぞ〜。そんでどこでご飯食べようか?」


「私はファミレスがいいなぁ...サ○ゼリヤとかどう?」


「いいなそれ。サ○ゼリヤなら確か隣の駅にあったはずだしそこまで歩いていくか」


「さんせーい!!」




 僕らは六文字縛りのしりとりをしながらサイゼリヤに向かった。六文字って意外と難しくて、"む"が回ってきたときは本当に焦った。"無理関数"しか出てこなかったよ・・・。受付の紙に名前を書き、外で待っていると僕らの番になったようで席に案内された。店内はランチタイムだからかそこそこ混んでいる様子だ。


(入学式の最寄駅周辺のファミレスならもっと混んでいただろうし隣駅まで歩いてきたのは正解だったかもな。)


 そんなことを思っているとメニュー表を眺めていた琴音から声がかかる。


「お兄ちゃん、私ピザ食べたいんだけど一枚を半分ずつでシェアしない?」


「いいよ〜。じゃあ僕は琴音とシェアするピザとたらこパスタでも食べようかな。ランチメニューにあるやつ。」


「そっかランチメニューだとスープとサラダついてくるのか!えー...でも私はカルボナーラ食べたいからカルボナーラにしよっと。ドリンクバーはつけるよね?」


「もちろん。」


「ピザはどうしよっか?マルゲリータかなやっぱり」


「僕もマルゲリータがいいからそれでお願い」


「おっけーまかせて!!」


 そう言って琴音は注文用紙に注文を書き、机の上にあるボタンを押して店員さんを呼んだ。その後僕達は食事が到着するまでの間に飲み物を取りに行くことにした。


「お兄ちゃんは飲み物何飲む?」


「んー、やっぱり白ぶどうのジュースかなぁ。ドリンクバー以外じゃ飲む機会あまりないし。」


「白ぶどうジュース好きだよねお兄ちゃん・・・私はメロンソーダでも飲もうかな」


「琴音もいつも通りだな〜二杯目は僕もメロンソーダ飲もっと」


 そうして琴音と談笑していると、注文していた料理が運ばれてきたから早速いただきますをして食べ始めることにする。


「ん〜!カルボナーラ美味しい!!」


 そう言って頬に手を当てながら満面の笑みでカルボナーラを食べる妹


「琴音は本当にカルボナーラ好きだねぇ・・・まぁ僕も人のこと言えるわけじゃないどさ」


「お兄ちゃんは昔からずっとたらこパスタ好きだもんね〜」


「だって美味しいもん。あとはカルボナーラとかペペロンチーノなら家で作れちゃうからお店で頼むなら普段作れないやつ食べたいなっていうのもあるけど」


 僕が家でご飯を作るときは基本パスタが多い。材料がそんなにないから買い出しに出かけなくても美味しいものが作れてしまうことが大きな理由である。そもそも僕自身がインドアすぎるから買い出しにわざわざ出かけたくないんだよね。


「お兄ちゃんのカルボナーラはもちろん最高だよ!!あれは殿堂入りだよー」


「それは買い被りすぎだって笑 まぁ琴音にそう言ってもらえるのは嬉しいけどな」


 買い出しに出かけたくないという理由でパスタをことあるごとに作って食べていたら、いつの間にか琴音に絶賛されるレベルで美味しく作れるようになっていたのだった。他のパスタにも挑戦してみようかな?


「あ!!私は明日のお昼ご飯にお兄ちゃんのカルボナーラを所望します!!」


 琴音にこういう風にリクエストされるとやはり料理してる側としては嬉しいわけで、


「わかったよ。んじゃ帰りについでにスーパーでカルボナーラの材料買ってくか」


 お兄ちゃんは妹のお願いに応えたくなってしまうのである。琴音はお兄ちゃんの扱いが上手いね・・・。もしかして僕が単純すぎるのかな?

 じゃあ明日のお昼ご飯はきのことほうれん草使ったカルボナーラにでもするか!!!



______________________________________

第二話を読んでいただきありがとうございます!

まだ時間に余裕がある時期なのでなんとか二話目を執筆することができました笑

カルボナーラとペペロンチーノしか作らないのは完全に私の経験からです・・・。具材なくても完成してるので本当に楽なんですよ!!笑


♡やフォロー、コメントをしていただけるとモチベーションになるのでお願いしますm(_ _)m

それでは第三話でお会いしましょう!






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