妹と兄の日常
桜残り
第1話 偏頭痛のお兄ちゃん
バイトが終わり家に帰ろうとすると案の定外は雨が降っていた。
「もしかして雨降ってるかなって思ったけどやっぱりかぁ...。」
少し顔をしかめながらポツリとつぶやく。
僕は雨の日は嫌いじゃないしというかむしろ好きな方だ。ではなぜ顔をしかめたのか。答えは単純で、僕が偏頭痛持ちだからだ。頭痛い。
「うわやっぱり気圧が下がったり上がったりしてたのか」
頭痛○るで気圧状況を確認して露骨にテンションが下がる僕。今日は早めに寝よっかな...。
「とりあえず早く夜ご飯食べたいしさっさと帰るか」
イヤホンを耳につけ、折り畳み傘をさして夜の街中を歩き出した。
「ただいま〜」
靴を脱ぎ、手を洗ってからリビングのドアを開ける。
「あ、お兄ちゃんおかえり!」
そう言って出迎えてくれたのは妹の琴音(ことね)、来月から高校一年生の僕の妹だ。ちなみに僕は来月から大学一年生だ。
「ただいま琴音。僕の分の夜ご飯って残ってる?」
「お兄ちゃんの分はレンジの中に置いてあるよ〜。温めて食べてね!」
「りょーかい。わ、ぶりの照り焼きだ!これは嬉しいね。」
「お兄ちゃんぶりの照り焼き大好きだもんね。だから大きめのやつをお母さんに残しておいてもらったんだ〜。有能な妹に感謝してよー?」
「ありがとうマイシスター!ちょっと元気出たよ。」
「ん、お兄ちゃん元気なかったの?...あー、もしかして偏頭痛...?」
「そうなんだよ...今日ちょっと気圧の上がり下がりが酷くてさ...」
「そっか...じゃあお薬飲んで今日は早いとこ寝ないとだね!明日もまたバイトあるんでしょ?ちゃんと治さないとね。」
「そうそう。明日でやっと五連勤が終わる...!」
「五連勤ってすごいね...。せっかくの春休みなのによくそんなにバイトできるね...。」
「楽しいからかなぁ...僕はずっと人に教えるの好きだったし。よく琴音にも勉強教えてあげてるでしょ?」
「確かにお兄ちゃんは人に勉強教えるの好きだね...しかも分かりやすいし。もしかしてお兄ちゃんが頭痛いのは偏頭痛もあるけど疲労のせいでもあるんじゃない?」
「確かに。」
妹よ、その通りかもしれない。
夜ご飯を食べてお風呂に入ったら余計に頭痛がひどくなりました。身体が冷えてる時にお風呂入ると頭痛がさらにひどくなるんだよね...。頭がガンガンと痛んでる。今夜寝るのかな僕。
「うわー、お兄ちゃん顔色すっごい悪くなってるけど大丈夫なの...?」
「琴音、お兄ちゃんはもうダメなのかもしれない。」
「はいはい、お薬飲んでベッド行くよ〜。」
頭痛薬を飲んだあと、琴音に無事にベッドまで連行されました。
ベッドでしばらく横になっているけどやっぱり頭痛ひどいなぁ...無事に寝付けるかな?頭痛薬の睡眠作用が効き始めたら眠くなるだろうしそれまでの辛抱だね。それはさておき、
「なんで琴音は僕のベッドで一緒に寝てるのかな...?」
「頭痛で眠れないお兄ちゃんを寝かしつけるのは妹の役目だよ?」
そう...なのか?反論したいけど頭痛のせいで思考がまともに回らないから諦める。
「お兄ちゃんがよく聞いてるASMRの”偏頭痛の日に添い寝してくれる彼女”と同じシチュエーションだよ?まあ私は彼女じゃなくて妹だけど。」
「なんで知ってるの???」
「妹はお兄ちゃんのことをなんでも知ってる生き物なんだよ?」
なにそれ知らないし怖いよ妹よ。
「今は弱ってるんだから大人しく添い寝されて眠ってね〜お兄ちゃん〜」
あー...頭を撫でられながら妹のウィスパーボイス聞いてると少しずつ眠気が襲ってくる...。すっごい恥ずかしい状況だけどちゃんと寝れそうだな...。明日には頭痛が治ってますように...。
「おやすみなさい、お兄ちゃん。ゆっくり休んでね。」
翌朝、ぱちっと目を覚ました僕。隣では琴音がまだぐっすり眠っており、昨夜の出来事が夢ではないことを物語っている。うわー恥ずかしい...。だけど偏頭痛はちゃんと治っているっぽいな。よかったよかった。
「なんか久しぶりにぐっすり眠れた気がする。偏頭痛がひどい時は琴音に添い寝をお願いするのもありかもしれないな...頼むの恥ずかしいけど。」
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第一話を読んでいただきありがとうございます!
「妹と兄の日常」は一話ごとに話が完結する作品として書こうと思っています。初めての執筆なので一話ごとに物語を作って執筆に慣れていこうという魂胆です笑。至らない点が多々あると思いますが、温かい目で見守っていただけると幸いです。誤字脱字の指摘等はコメントでお願いします。m(_ _)m
♡やフォロー、コメントをしていただけるとモチベーションになるのでしていただけるととても喜びます(私が)!
それでは第二話でお会いしましょう!
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