特別短編2 ショースケの朝

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 時刻は朝の七時半。

 ショースケは爆音で何度も鳴り響くアラームをものともせず寝返りを打っていました。

「ショースケ君いつまで寝てるんだ! 学校遅れるぞ!」

 部屋に入って来たライトに掛布団を強引に剝ぎ取られ、ショースケはダラダラとやっと起き上がりました。

 ぼーっとしたまま一階に降りて、ぼーっとしたまま椅子に座ると、目の前に並べられたルルが作ってくれた朝食を口に運びます。

 サクサクの焼きたてトーストに目玉焼きとベーコンをのせて頬張っているとようやく目が覚めたのか、ショースケは掛け時計を見て目を丸くしました。

「ええっ、もうこんな時間⁉ ライトさんもっと早く起こしてよ!」

「僕は何回も起こしに行っただろ! 大体昨日も早く寝ろって言ったのにショースケ君が夜更かしするから起きられないんじゃないか」

「だっていいアイデアが浮かんじゃったんだもんしょうがないじゃん!」

「続きは明日やればいいだろ!」

「思い立ったが吉日っていうでしょー!」

 朝から元気に揉める二人に、メグはやれやれといった感じで口を開きます。

「ショースケさん本当に遅刻しますヨー。ライトさんモ、朝からそんなに大きい声出さないでくださイ」

「う……すみませんメグさん」

 ライトは気まずそうにホットコーヒーを口に含み、その横でショースケは急いで残りのポタージュスープを飲み干しました。

「ごちそうさま!」

 ショースケはそのままバタバタと二階の自分の部屋に戻り、着替えを済ませてランドセルを持って一階に戻ります。

 そして洗面所にダッシュで向かって歯磨きと洗顔を済ませている間に、寝ぐせだらけの髪の毛をメグが優しく梳かしてくれます。

「あ! ショースケさん、制服の上着その辺に放っておいたでショ。ヨレヨレになってまス、ちゃんとハンガーにかける約束じゃないですカ!」

 メグはプンプンと頬を膨らませています。

「う……だってめんどくさいんだもん……」

 ショースケはびちゃびちゃの顔を拭きながら口答えしました。

「あんまりひどいとショースケさんのマムとダッドに言いつけちゃいますからネ!」

「ごめんなさいちゃんとするからそれだけはやめて!」

 ショースケは懇願しながら洗面所を後にします。

 青いランドセルを背負い、玄関でもぞもぞ靴を履いていると三人がお見送りにやって来ました。

「ショースケさん、忘れ物はありませんか?」

 ルルが優しく微笑みながら尋ねます。

「それはねルルさん、学校に行ってみないとわかんないよ! 忘れ物があるってわかってたら忘れ物なんてしないんだから!」

 ショースケは何故か得意げです。

「ハンカチは持ちましたカ?」

 メグの質問にショースケは任せてよとポケットからハンカチを引っ張り出しましたが、しわくちゃのそれはどう見ても昨日、いや数日前から入っていたかもしれない見た目です。

 きっとそうだろうと読んでいたメグは小さくため息をついて、持ってきておいた綺麗なハンカチをショースケのしわくちゃのそれと取り替えます。

 そんな様子を見ながら、ライトは今日もしっかり頭を抱えていました。

「ショースケ君毎日こうだよね……ほら、ランドセル開いてるよ」

 ショースケに後ろを向かせて、ライトはランドセルの留め具をしっかり閉めます。

「あ、ありがとうライトさん……ってうわぁ集合時間ギリギリ! それじゃあみんな行ってくるね!」

「はい、いってらっしゃい」

 見送る三人にショースケは手を振って、バタバタと家を飛び出していきました。


 ……が、すぐにもう一度扉が開いてショースケが顔を出します。

「今日体操服いるんだった‼」

「ええ⁉ あーもう取ってきてあげるから! どこ置いてるの、部屋⁉」

 ライトは忙しなくドタドタと階段を一気に駆け上がって行きました。

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