第10話:辿り着いたその場所で
その後、もう出番はないと思っていたオレだが、二回ほどオレまで戦う羽目になった。
一回目はアルマの時だった。その時は運悪くアイスゴーレムと遭遇してしまったのが原因で、少しばかり手伝うことになった。
アイスゴーレムとは、その名の通り氷でできた
ちなみに結果として、アイスゴーレムに対してオレとケーナの相性は最高だと知ることができた。
いわば最強の盾と最強の矛。あまりにも素早い討伐にギルドの面々からは絶賛とお墨付きを、視聴者からは驚愕と興奮のコメントをたくさんもらった。収益化できていないことが正直恨めしい。
二回目は
アルマに関しても、別の魔物――アイスゴーレムと同じくどこぞのダンジョンのボスらしい――を無事討伐し、戦力として申し分ないと評価をもらっている。
「さてと。ストークラさん、ここって第何階層でしたっけ?」
「第三階層の最奥部だ。数分もすればまた下へ降りる階段があるはずだ」
「ついにボス、ですか……」
オレの言葉によって緊張感が流れる。特にアルマは軽く震えていた。それもそうだろう、初めてのB級ダンジョン攻略で、しかもボス。強敵なのは間違いない。
ギルドの面々はそこまで緊張していないようだが、一層気合が入ったと見て取れる。
何事もないのはオレとケーナだけだった。オレはスキルに全幅の信頼を置いているし、ケーナは
断続的な沈黙が続くこと数分。階段を下りた先にはこれまた仰々しい大きな扉があった。
「皆、準備はいいか!」
「「「おう!」」」
キンドラーの号令に、声をそろえて返事する。
[ktkr!]
[大一番!マジで頑張ってくれ!]
[ヴェインがチート過ぎてボコボコにできるやろなぁw]
[仲間も最強ギルドだしw]
[久しぶりにドキドキハラハラしない無双劇が見れそうでアガる]
[wktkwktk]
コメントもより一層勢いを増している。同時接続視聴者はついに20万を超えた。ちらっと見たが、登録者もフォロワーも10万を突破していた。信じられないほど順調だ!
「行くぞ!」
ゴゴゴ――と鈍重な音がして扉が開いていく。
向こう側に暗く深い闇が広がると、すぐにキンドラーが無数の光を放ってそこを昼間のように塗り替える。今までもずっとやってきたことだ。
しかし。今回はかなり様相が違った。
「
ふと誰かが呟いた。
目の前には、
「死んで、る?」
ぐったりと倒れ伏し、息をしていない。目を閉じてしまえば何もないのと変わらないほどに、存在感がない。人に化けているケーナですら、微かに威圧感があるというのに、だ。
『よく来たな。客人たち、そして我らが神子よ』
「誰だ!」
遠くから脳内に直接響いたかのような声色で聞こえた、謎の声。
それは、実戦経験に乏しいオレでさえも、異質だと、危険だとわかるものだった。
「アルマ……大丈夫か?」
「えぇ。なんとか……大丈夫よ、ヴェイン」
威圧されたわけでもないのに足がすくむ。腰が引ける。そんな圧倒的な存在感によってアルマはダウンしかけている。
オレは数日前を思い出し、ぎゅっとアルマの手を握った。するとすぐに震えは止まり、脈拍も元通りになった。
「何かわからないが……ともかく戦闘だ。総員、構え!」
本日何回目かもわからないキンドラーの号令で戦闘態勢に入る。
それと同時に、ぬるっと姿を現した――人の形をした巨大な「闇」。
そこに言葉はなかったが、かくして戦闘は始まった。
「〈ブライトセイバー〉!」
キンドラ―が生み出す、聖なる剣が次々と「闇」へ放たれる。
しかし効果はなさそうだ。間違いなく刺さっているように見えるが、その瞬間に消える。うめき声も何も聞こえないし、ダメージにもなっていないだろう。
「僕が次を……と言いたいけど、闇属性な僕じゃあ効き目も薄そうだね」
「だったらその転移能力で回避させてください。オレ以外の人は特に」
「なら、お言葉に甘えて僕は援護に徹するよ」
アルマのストーカーにアルマを任せるのはなんだか気が引けるし許せないが……仕方ないな。安全第一、ってやつ。
「お姉さんは元から回復役だし、後ろに下がってるわ。若い子ちゃんとキンドラ―、よろしくねっ」
「アルマ、ケーナ。二人は攻撃に転じてくれ。オレがやつの気を引き付けつつダメージを与える」
「分かったわ!」
「了解じゃ!」
ふぅ、と息を吐く。脳が、視界が冴える。力がみなぎる。
「さぁ――やってやろうじゃねぇか!」
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