第38話 灰かぶりの双子
††
マリティーネア(16):
身長161 体重ラムネ
りょりょくB かりょくC まりょく量B まりょくコントロールC スピードB(S) シールド値A
レベル イレブン
武器 MT6
カッチュー 動きやすい水玉模様の黒スポーツフィットスーツ
趣味 料理 スポーツ観戦 旅行 バスケ パーティー ライブ 電話 プリクラ 魔法ソード少女
魔法
【二兎王】
二匹の巨大な兎になる
【アルタカ】
能ある鷹は爪を隠す
【アルウマ】
癖ある馬に能あり
【朝三暮四】
猿ってなんの昔のひとの恨みかネガティブな言い回しが多いのよね
【竈猫】
結構毛だらけ猫灰だらけ、そんなシーン見たことある?
マリティートイ(16):
身長173 体重グミ
りょりょくD かりょくC まりょく量C まりょくコントロールD スピードE シールド値E
レベル イレブン
武器 MT1
カッチュー 姉と同じもの
趣味 姉に連れられて
魔法
【トイザル】
玩具と魔法は似ているかも。人の想像力がたのしくて豊かなところ…
††
馬は走る、凍てつく氷の荊の上をチカラ強く四脚の焦るリズムで踏み。
猿は跳ぶ、氷色に染まりゆく街、家々を。
凍りゆく屋根上からはばたいた鷹はその身の冷たさを堪えて舞う、灰色の空を────
しかし唐突に降った雹に打たれ、穿たれ、その魔法の翼はぼろぼろと……やがて崩れていきカタチを保つことができない。
いつもの通りに妹と趣味の魔法ソード少女をしていた、なぜこんなことになったのか、突然難易度がぐんと上がったようなここまでの苦するたたかいの模様に理解は及ばず、こんなことになるとは露程にも今日までのポジティブで傲慢な心におもわず。
背負っていたネムる妹を抱き寄せた鷹だった者は化けた姿をぼかしながら堕ちていった──────。
「いやー、イヤだな、なんとも素晴らしい双子の愛。俺だったらそんな奴は踏みつけて1人逃げてる」
氷の街の真ん中でヨロヨロと起き上がった人の姿は、隣でぐったりと寝ている妹、つぎに目の前の人型ストローを満身創痍なきびしい様子で睨みつけた。
「ッぁ……あんた…なんなのよ……!」
「世界をあやつる者、このクールで忌々しいチカラでな。どうやらヤツと分離した結果俺ってのはこうも邪悪になっちまったようだ」
真っ白なスーツの男は冷たい氷のネクタイを締め直した。
そして翳した手の平から氷礫がつくられていく。
まるで魔法のように、
「ハァハァ……ッなんだわかった、そっちも行き過ぎたごっこ遊びってわけぇ?」
「ハハハおもしろい魔法を使っておもしろい事を言うな」
「さて、とはいえ俺は他の変な連中とちがい何もお前らをただ殺しにきたわけじゃねぇ。だが──そのお荷物クローンを今ここに置いてくならオマエのことは見逃してやる、その魔法嫌いじゃねぇ鼠になってくれりゃぁ色々使えるんじゃねぇか」
男はやけに冷静である。
しかし裏腹に氷の礫は育ち、尖った凶器が無様に寝転ぶモノに向けられている。
「はっ、んなことするなら死んだ方がマシ! 妹がいなけりゃ…いつまで経っても完璧な姉でいられないでしょ! んなことも知らないの? ばーーーーーか♡」
忌々しい灰被りの髪をした魔法ソード少女は握る剣の切先を敵へと向けた。
血に濡れた舌をおおきく出しながら愚問愚言を放つ愚か者を嘲り笑った。
「ハハハ、────────俺はなぁ、馬鹿な兄弟劇に酔っって偽愛を垂れ流してるヤツがどんなカス罪人より世界でゴミほど嫌いなんだよおおおおおお!!! 運のネェ忌み子であることを呪え、凍てつきながら脳までシネ!!! くれてやるからまとめてシネ!!!」
落ち着いた顔が一転、形相を吊り上げた狂った白い悪魔はそのまま狂気を魔力へと変え、特大の氷塊とし発散した。
『開幕からうっさいわねええ【バブルポップ】!!!』
並じゃない怒りにまかせ一気に発散発射しようとした氷塊は降り注ぐ数多の冴え冴えしい泡粒に──接触爆発、相殺され砕けた。
「泡ッッなんだ!? ──!?」
「なんでストローがまた悠々としゃべってんのよー! 白いスーツ着た男なんて明らか敵よねええ! もういっちょ!」
「クソ野郎なんのふざけた魔法を──邪魔な泡粒か!」
やはり泡────、水色のまりょくを含ませた剣から矢継ぎ早に発射された連弾に虚をつかれ、爆発する氷道を男は靴底に氷のエッジをつくり慌ただしく滑り退がっていく。
どこかへ追いやるような意図を感じれる泡の魔法の爆撃も、冷静になれない男にはわからない。
爆撃に乗じてそこに第二の刃が潜んでいることを。
氷の路地を後退する白スーツに横道から来た赤備えは、そのあたためていた剣で飛び込んだ。
「こいつどこから! 【ジェミニフリーズ】!!」
「──【・えんど】!!!」
振り向き気付くも、敵の勢いは十分。
その未知の魔法を込められているであろう剣を避けるのは既に遅し難しいと判断した男は多量のチカラを解放し、一気に向かう刃へと放出した。
地を割るように踏み締めた巨氷と結晶に突き刺さった巨炎がぶつかり合いせめぎ合うも──一瞬。
「なにいいいいいこいつは炎!? この身のフルパワーでだぞ!? ──氷が!!!」
巨氷の魔法を一瞬成した、怒れるように咲いた氷の柱の数々は膨張しようとする巨大な炎に呑み込まれていく。
「あはははいきなり変な白スーツのストローが居て焦ったけど蓋を開けてみれば氷と炎なんて相性バリバリラッキーじゃない。ところで、この完璧な姉のこと──あんた呼んだ?」
「だれよ…あんた…」
ニヤりと左の口角をつりあげ振り返る…氷の街も馴染み似合う水色髪の少女。
かばい刺さる氷片を体をブルブルと震わせ抜きながら、血だらけ灰だらけのおおきな猫は吐く息白く荒くも、そのしたり顔を睨みつけた。
マリティーポップと真田ふれいは次のおもしろそうなノイズに飛び込んだものの……。
待ち受けていた光景はしゃべる白スーツを着た見るからに怪しい異物と、ヘマをした魔法ソード少女たちの窮地であった。
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