第35話 真田の抜け道
▼おおさかデータゾーン6▼にて
同データゾーン内で未確認ストローと戦闘中の魔法ソード少女3名
MS0マリティーアイ
MS7マリティーシー
MS6マリティーテイル
から上がった複数の救援依頼の信号はマリティー本部イージスオペレーションシステムへと届けられた。
そして1分と待たずに念願の救援にきた魔法ソード少女は到着。
生死とスコアを賭けた…緊張と高揚を孕む最中ゆえの迅速かつ一時の協力体制を5人展開し、大阪城下のたたかいはさらに熾烈さを増していった。
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★敵未確認ストロー
フジツボ:
ハチノスのような寄生型のストロー。
フジツボに似た形をしており建物などに付着寄生し固定砲台と化し、まりょく探知し見つけたエネミーを優先的に狙う。陣取られた場所により、非常に厄介な遠距離型の敵となる。
その他既存確認済のストロー30体以上。
☆マリティーの魔法ソード少女5名
マリティーアイ(25):
身長164 体重ぬれせんべい
りょりょくE かりょくG まりょく量D まりょくコントロールD スピードD シールド値E
レベル MS0
武器 MT2
カッチュー アイアイを模した悪魔的カッチュー
呪い
【???】呪う
マリティーシー(29):
身長166 体重めんたいこ
りょりょくC かりょくC まりょく量C まりょくコントロールC スピードC シールド値C
レベル MS7
武器 MT3
カッチュー 鮭の切り身をプリントしたウェットスーツ
魔法
【バシャバシャ】いきおいよく水柱を発生させる。遠中近指定したどのレンジにも集中すれば発生が可能。
【イクラ】イクラの機雷を仕掛ける
マリティーテイル(20):
身長155 体重たべるっこどうぶⅡ
りょりょくD かりょくC まりょく量C まりょくコントロールD スピードD シールド値B
レベル MS6
武器 スネークチェーンソード
カッチュー スパイダーテイルドクサリヘビを模した砂漠色のヘビーパーカー
魔法
【スパイダーラヴバルーン誘】あまいまりょくの擬似餌でストローを誘う。魔法の使用中はその場から動けない。
【スパイダーラヴバルーン爆】触れたら爆発する蜘蛛型のバルーン。集中すれば蜘蛛のような多脚で精巧に走らせることもできる。
マリティーポップ(16):
身長161 体重53
りょりょくC かりょくB まりょく量B まりょくコントロールB スピードC シールド値D
レベル MS5
武器 MT3
カッチュー イカしたラムネパーカー
大魔法
【バブルポップ】何かと応用の効く進化を遂げつづける泡魔法である。
真田ふれい:
身長169 体重ちょっと硬めのプリン
りょりょくA かりょくS まりょく量B∞ まりょくコントロールG スピードC シールド値S
レベル MS0
武器 MT10(カラムシ作)
カッチュー 真田の赤備え魔法ソード少女風モダン仕様(カラムシ作)
大魔法
【ふれいぼむ・えんど】爆炎ドームの破壊力は抜群、だが魔法使用後の硬直が長いのが玉に瑕。誰かがお膳立てをすれば彼女はその一振りで決定的な戦果を上げることができるだろう。
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城周りの水堀を潜水中のマリティーシーは積荷を悠々と泳ぎ運び終え、役目を無事果たした。
明るさに釣られ、親指を立てて秘道を行く者を見送っていたところに、突如水中へと降り注いだ砲弾が爆発した。
「ぎゃーーーーーおいおいおいおいおいお姉さんきいてないシーーーーーー!!!」
次々と爆発するフジツボ城からふりそそぐ砲撃のナカをウェットスーツの女は冷や汗をかきながら泳ぎ急いでいく。
「およげえええええええすぃーーーーーーシーーーーーー死ーーーーーーー!!!」
極秘任務中のマリティーシーが集中砲火を浴び続けている一方で、水堀を挟み少し離れた焼け焦げはげた野に、ラムネ色のパーカーと砂漠色のヘビパーカーを着た2人の少女たちが占拠された毒々しい城を眺めていた。
「ちょっとこっちまったく狙われなくなってきてるし効果切れてるわよ、さっさとさっきのストロー誘導魔法とやらをもっぱつやりなさい! 助けに来てやったんだから命懸けで私の立てた作戦に協力しなさい私のまりょく!」
「…いいんすぱ?」
「はぁ? さっきのあんたら仲間なんじゃないの?」
「一応そうすぱね、10日前にへんな鮭の切り身のウェットスーツに声かけられてマリティーアイシテイル(仮)ってトリオで活動しだしたすぱ。でもまだ携帯の番号もしらんへび」
「しらないわよ! どうでもいいからはやくなさいっ、このマリティーポップの実力はさっき見せたでしょ。ってなによそのふざけたトリオ……10日ってまたたしかに微妙ねぇ」
「んー、じゃあここはもう一度信じておんにきるすぱ。【スパイダーラヴバルーン】。これやってるときは目視しながらじゃないと上手くできないしOFFらないと動けないすぱ、あとアタマ疲れる」
マリティーテイルは剣柄からぷくりと…甘いまりょくを孕みふくらんだピンクの蜘蛛型のダミーバルーンを宙に展開した。
ピンク蜘蛛型バルーンはぷかぷかと低空を滞空し、これみよがしに獲物を誘う特殊なまりょくを醸し出す。
「2回も詳らかに説明しなくてもッばっくれないから今度はチキって切るんじゃないわよ、このマリティーポップが…きたきたきた──」
「【バブルポップ】!!!」
「私と撃ち合おうってのフジツボのお城があああははははゼンブ食ってやるからかかって来なさい!!!」
「みていてきいてきもちのいい、漢前な魔法ソード少女もいるんすぱへびね」
フジツボ城から放たれた並々ならぬ砲の雨を、迎え撃つ泡の大魔法が相殺するような軌道で飛び、──轟音を奏でながらはげしく爆ぜていった。
▼
▽
権力の象徴である大阪城と呼ぶには、エメラルドグリーンの煌びやかな屋根色が失せている。
フジツボ型のストローの群れに寄生された城にもはや本来の面影はない。
見るも邪悪に操られる権力の象徴の元へと、息を潜めた赤備えは突っ走る。
フジツボ城の水堀に見つけた秘密の坑道を行き────────今、城下その喉元へと真っ黒なその髪と、真っ赤なカッチュー姿が駆け上がり──せり上がっていく。
「このマリティーポップに砲撃戦を挑もうなんてバッカねええええ!!! あはははははお膳立てええええ抜かるんじゃないわよさっなだふれいっーー!!!」
宣言どおりにフジツボの砲弾をスベテ喰らい押し返し、宙をただよう泡の軍勢が赤備えを追い越し、つぎつぎと爆発援護した。
「あららら足腰にくる水日和ねぇ、水の滴るお姉さんも【バシャバシャ】っ【バッシャーーーーん】!!! しゃけっと
泡泡の大魔法エンターテイメントに感化されて、石垣を登った水の滴るマリティーシーは遠隔から発生させた水柱のアーチで一直線に走る少女の道をみずみずしく彩る。
「いちおうここぞの援護するすぱ。赤いの、へびーにたのむすぱ」
「あいあいあいあああエおえっ──呪った!!! ヤハハハ──」
ぷかぷかと飛来した蜘蛛型のバルーンは、城下へと侵入しカエル型のストローに八つ脚で抱きつきそのまま起爆自爆した。
桜門近く、桜の木枝に長い尻尾をからめ、逆さにぶら下がった黒い悪魔少女は折れた刀を立派なお城へと向け、訳のわからぬ奇声を発した。
どんぱちどんぱち一気呵成のお膳立て、
立てられたのは、ひとりの勇敢な少女のがんばり。
呼応する連携に、赤備えの魔法ソード少女は呼応した。
「んっ、わかったーーっ──【ふれいぼむ・えんど】!!!」
元気にとびあがった少女は剣を振りかぶりその切先は陽光にきらめく、
一斉に睨みつけたフジツボたちの砲弾は不思議にもぬるりと赤い熱源を逸れていき、
やがて
見晴らしのいい天守へと突き刺さったMT10の刃は、抑えきれなくなった紅い魔法を発現する。
「おなじ魔法……すぱ?」
「ちっちっち、天才マリティーポップ直伝──魔法ソード少女の、大魔法!!!」
ただの魔法ではない…ふれいの大魔法イチゲキが決まり、
おおきなおおきな丸い紅い太陽に、
水遊び明けの虹色の橋がかかる。
圧倒的なまりょく量に浄化されたフジツボの大阪城は跡形もなく破壊され▼おおさかデータゾーン6▼は未確認ストローの軍勢をすべて平らげクリアされた。
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