第5話 森を抜けて

ハルが自分の内側にある光を見つけた後、森はもはや以前のように暗く、恐ろしい場所ではなくなっていた。彼の心に宿る光が、足元を照らし、道を示してくれる。森の奥深くに隠された恐怖や不安は、今や彼の成長の証となり、ハルはそれらと共に歩む勇気を持っていた。


彼が森を抜けるにつれ、木々は徐々に間隔を広げ、太陽の光が一面に広がっていく。明るい光の中、ハルは自分が森の端に立っていることに気づいた。背後には、彼が通り抜けてきた濃密な森が広がっている。そして前方には、開けた草原が彼を待っていた。


草原の向こうには、小さな町が見える。ハルの心は、未知の世界への期待で満たされていた。彼は振り返り、一度深呼吸をし、これまでの旅を振り返った。


「森を抜け出したんだ…」


ハルは、森の中での経験が自分を変えたことを感じていた。恐怖や不安はまだ彼の中にあるかもしれないが、それらと共存し、乗り越える力を手に入れた。彼は自分自身の弱さと強さの両方を受け入れ、自信を持って歩き出すことができるようになったのだ。


草原を歩き始めると、ハルの心は軽やかになり、足取りも確かなものになった。彼は新しい世界への扉を開けようとしていた。そこには無限の可能性が広がっている。ハルは、これからの人生がどんなものになるかわからない。しかし、彼はもう恐れない。なぜなら、自分自身と向き合い、内側の光を見つけたからだ。


彼が草原を歩んでいく中で、風が吹き抜けていった。ハルはその風を顔に感じながら、自分がこれまでにないほど自由であることを実感した。彼は、自分の心の光を信じ、新たな道を切り開いていく準備ができていた。


太陽が地平線に沈もうとするその時、ハルは立ち止まり、遠くを見つめた。彼の旅はまだ始まったばかりだ。しかし、彼は知っている。どんなに暗く、困難な道でも、自分の内側にある光が道を照らしてくれることを。


「森を抜けて、新しい世界へ…」


ハルの物語は、一つの章が閉じられ、新たな章が開かれようとしている。彼の旅は終わりではなく、始まりに過ぎないのだ。

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不安だらけの鬱蒼と茂った森の中で 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92

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