第4話 光を求めて

ハルがその小さな光に向かって進むにつれ、森は彼を柔らかく包み込むようになり、木々の間から漏れる光はますます明るくなっていった。彼はまるで、自分の心が徐々に開かれていくような感覚を覚えた。


進むたびに、ハルは自分の内側で何かが変わり始めていることを感じ取る。恐れや不安はまだ彼の中にあるが、それらを乗り越えようとする意志が芽生えていた。影との対話が、彼に新たな視点を与えたのだ。


「弱さを受け入れることが、実は強さなんだ…」


この思いを胸に、ハルは森の中で遭遇する小さな困難や障害にも立ち向かう勇気を見つけた。木の根につまずくこともあれば、方向を見失うこともあった。しかし、彼はもう、それらに打ち勝つことができる。


そして、ある時点でハルは立ち止まり、深呼吸をした。彼は自分が今まで感じたことのないような平和と満足感を感じていた。彼の心は以前よりもずっと静かで、光に満ちていた。


その瞬間、森の中でひときわ明るい光がハルの目の前に現れた。それは太陽の光が突き抜ける小さな空間だった。光は暖かく、歓迎してくれるようだった。ハルはその光の中へと歩みを進めた。


光の中に立つと、ハルは自分の心が完全に開放されるのを感じた。彼の中の恐れや不安は、光に触れることで少しずつ溶けていくようだった。


「光を求めて、正解だったんだ…」


ハルはこの光が、自分自身の内側にも存在することに気づいた。外の世界だけでなく、自分の心の中にも答えがあったのだ。


彼はしばらくそこに立ち、この新たな発見を噛みしめた。そして、彼は自分がこれからも進み続けることができると確信した。外の世界の光だけでなく、自分の心の光をも探求する旅が、これからも続くのだと。


ハルがその場を後にした時、彼はもう一人の少年ではなかった。彼は自分自身と向き合い、自分の内側にある光を見つけ出した勇者だった。


森の中でハルが見つけた光は、彼の旅の終わりではなく、新たな始まりの象徴だった。これから彼が歩む道は、かつての不安や恐れに満ちたものではなく、自分自身の光を信じ、それを追い求める旅だった。

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