11針目 「乙女の心は敏感だから」
4時間目が終わり、私は購買で何を買おうか迷ってます。
(サンドイッチと...コーヒー牛乳でいいですかね)
そういえば最近色々食べすぎてた事をふと思い出した私は体重が気になってしまい、パンをひとつ減らして頼みました。
購買から教室に戻ると、私の机の隣に風さんが座っており手を振ってきました。
「一緒にお昼ご飯食べよ!」
「分かりましたよ.....」
私はそういって自分の席について椅子に座りました。
「「いただきます」」
「って、あれ?時ちゃんいつもよりご飯少なくない?」
「少し体重が気になっただけですので、お気になさらず」
「そうなんだ?あまり変わってないと思う....」
風さんはそう言って私の体をじっくりと見渡していると、目がとある箇所に止まってハッとなにかに気づいた顔になりました。
「どうしました?」
「....ここが原因だぁ!」
風さんはそう言って私に抱きついてきました。
「ち、ちょっと?!」
「時ちゃんが太っている原因はこれでしょうがぁ!」
風さんそう言って私の体を触ろうとしてきましたが、私の手を危機一髪で受け止め「さ、先にご飯食べましょう?」と言うと、風は「しょうがないなぁ.....」と言って椅子に戻ってくれました。
「時ちゃん時ちゃん」
「どうしました?」
私がご飯を食べ終わると、風さんが話しかけてきました。
「ズルくない?」
「? 何がですが?」
私がそう聞くと、風さんは「ここら辺が」と言って自分の胸に手を当てます。
「.....同じくらいでは?」
「今はね!?」
風さんは大きな声でそう言って、私の方に近ずいて来ました。
「落ち着いてください?」
私はそう言いながら席を立ち、その場から離れようとしますが...
「どこ行くの?」
ガシッと腕を捕まれました。
(結構やばい状況になってませんか.....)
「少しくすぐったいけど....時ちゃんが悪いからね?」
そう言ってふうさんは、私の両腕を片手で上手い具合に掴んで、片方の手を動かして近ずいてきます....風さんは意外と力が強くて振りほどけません...どうすれば...。
周りの様子を少し見たり聞いたりしますが、「百合か?」「百合!?」「ふむ....百合ですか...大したものですね...」とか言いながらこちらをじっと見てきてる人しかいません....
助けてくださいよぉ......
いや私は次の策を考え始めます、次の時間割は...確か...
「次の時間、保険体育の時間ですので、そろそろ行かないと....」
「あ!確かに!時ちゃん早くいくよ!」
風さんはそう言って私の腕をパッと離してくれてましたが、風さんは早く保健体育に行きたいらしく、私の名前を呼んで急かしてきます。
「時ちゃん、時ちゃん、早く!早く!」
「少し待ってくださいよ...」
私はそう言ってゴミを捨て、着替えが入った荷物を持ったち、念の為忘れ物がないか確認して風さんの所に向かいます。
「準備出来ましたよ」
「わかった早く行くよ〜!」
「え?」
風さんが私の腕をガシッと掴むとそのまま更衣室までダッシュします。
「他の人にぶつかるので、もう少し遅くしてください!」
私はそう風さんに言いましたが、聞く耳を持たず、「やだ〜」と子供のように言って走っていくのでした....
「はぁ....はぁ....」
「さぁ着替えよぉ〜」
「はぁ...はぁ、ふぅ...体力、ありすぎませんか..?」
「そうかな?とりあえず着替えよ〜」
「分かりましたよ....」
私はそう言って風さんと共に更衣室に入ります。
...罠とも知らずに....
「準備を始めま....す..」
保健体育の授業が始まってしまいました。
今回、男女別々で本当に良かったです、今でさえ恥ずかしくて逃げ出したいのに....
(というか.....皆さん、視線が私に集中しているの分かってるんですからね!先生もよく見てるしぃ....サラシとっただけでなんでこんなに見られるんですかぁ!)
....更衣室に入って人気がない所でひっそりと着替えていたら、何時の間にか後ろに風さんがいて...サラシ外されて.....返してもらう約束はしてくれましたのでいいのですが....
...あの視線よりかはましですけと....恥ずかしさがある分....何かこっちの方が....
「準備体操....用意」
え?あ?何時の間にか準備体操が始まってしまい、私は覚悟を決めて体を動かしますが...動きずらいです、胸が大きい分こう....当たってしまってどうすればいいか、分からなくなってしまうような...
あぁもう!風さん!笑わないでください!
許しませんからね!
何とか保健体育を終わらせた後、風さんに更衣室でサラシを返してもらった際に、今日の帰りコーヒー牛乳を奢って貰うよう、低い声で言い聞かせたら約束してくれました。
(さて本当にこれで許されると思わないでくださいね...)
しかし私はそう心の中で決めて、不敵な笑みを浮かべながら、1人で更衣室から教室に戻るのでした。
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