9針目 「願い」
「えっと、時ちゃん?」
風さんがびっくりした様子でこちらを見てきます。
「...どうしました?」
「い、今なんて?」
旅針さんはそう言って顔を少しこちらに近ずけます。
「大丈夫ですよ、旅針さんと言いましたが?」
この時私は急に風さんと呼んだことが恥ずかしくなってしまい、嘘をつきいてしまいました。
「だ、だよね?下の名前とかで呼んでないよね?」
「呼んでせんよ?なににびっくりしたんですか?」
「いやいや、なんでもないよー?」
旅針さんはそう言って首を振りますが、その光景が、少し焦っていた風さんが...
可愛かった..と、かんじてしまいました。
「ねぇねぇ時ちゃん!」
「どうしました?」
私は急に風さんに呼ばれ横を向きます。
「好きな人っているの?」
「急ですね」
「だって〜、時々笑顔になってるからいい事あったのかな〜って」
私は...あれから時々、自分でも分かるぐらい少し笑顔になってしまいます、恥ずかしいんですが...なんででしょうか。
というか、見てたんですか...なんか、恥ずかしい。
「いませんよ、というかなんで、いい事=好きな人になるんですか?」
「ほら、時ちゃんって心に秘めた恋心がありそうだし?」
「そんなのないですよ、というかわからないですし....逆にそう思ってしまう旅針さんこそが、そういう秘めた恋心があるんじゃないですか?」
「ないない、私も好きって感覚分かんないし」
風さんはそう言うと何時もより若干、元気がない笑顔を見せてきました。
「そうなんですか?てっきり"風さん"は知ってるものか....と.....」
私はゆっくりと言い終わると、走ります。運がいいことに、ここから家まで近いので走りました、というかというか!なんで言い間違えたんですか私!
「ふぅ...」
とりあえず服がびしょ濡れになって気持ち悪いですが、とりあえず風さんが来る前に私は、家に着き玄関にいました。
「...着替えます」
「時ちゃーん」
私がその声に反応し、ゆっくり...ゆっくりと後ろを見ると何故か風さんが立っていました。
「ひゃぁ!?ふ、風さん?な、なんで?」
「いや〜あんな事言われたらねぇ?喜んじゃって全力ダッシュ...って」
風さんは私の洋服が濡れていることに気づいたようで、顔を逸らします。
「女の子どうしたがら気にしないでいいですのに...今からシャワー浴びてきますので、お茶出すまで待ってください」
私がそう言うと彼女はびっくりした顔でこちらを見ました。
「いいんだ、入っても」
「帰らなそうなので」
私がそう答えると彼女は「お邪魔しまーす」と気が引けたのかいつもより小さい声で靴を脱ぎ始めました。
なんか私、風さんに甘くなってるような...
とりあえず風さんに荷物をお願いして私は脱衣場で服を脱ぎます、
「ねぇ、時ちゃん荷物ど」
「どうしました?」
私がちょうど服を脱ぎ終わった瞬間、風さんが話しかけてきましたが、何故か彼女は私の胸を見て固まっています。
「あぁ、荷物はリビングに置いてもらっていいですよ?」
私は風さんが動かないことが疑問に思いつつシャワーを簡単に浴びるためお風呂に入りました。
「あ、あの?風さん?」
私がシャワーを浴びて脱衣場に戻ると風さんが私を睨みつけていました...私は気まずくなってすぐさま新しい服に着替えてリビングに行こうとしたのですが....
何故か風さんは私を睨みつけながらリビングには行かせまいとドアの目の間に立っています。
「ずるい!」
風さんがようやく口を開いてくれて私はほっとしましたがその一言にびっくりします。
「な、何がですか?」
「その胸!最初は私とおんなじぐらいかと思ったけど....なんで大きくなってるの!?」
「晒し巻いてただけで...」
「いいな!いいな!よこせよこせー!」
風さんからに怒ったのか「うがぁぁ」と唸りました。
「え、えっとお菓子出そうかと思っ出たのですが....」
私がそう言うと風さんは考え込むようなポーズをとりこう言いました。
「...それついでに少し勉強教えて」
私はその言葉に「いいですよ」と了承します。
「やったー!」
何とか丸め込みましたが、風さんは結局何に怒ってたんでしょうか。
とりあえず私はリビングのテーブルに2つを置いてその中にコップに麦茶を入れて、ポ○キーをお皿にだして置きました。
「やるなら早くやりますよ」
「は、早い!」
勉強が始まって少しの時間が経ちました、私が黙々と勉強をしていると隣から叫び声が聞こえてきます。
「うぅ〜黙々と出来るかぁ!」
「どうしましたか?」
「なんで1時間も同じポーズで黙々とできるの!おかしくない?!後、お菓子もお茶も飲んでないし」
風さんはそう言って抱きついてきます。
「...普通かと?」
私は何時もの事かと思いつつもそう返事しました。
「普通じゃないよ〜!って、1時間立ってるって事は帰らないと....ごめん帰るね!」
風さんはそう言ってドタバタと持ち物を持って玄関に向かって行くと「じゃあまた明日ー!」と言って帰ってしましいました。
私はゆっくりとその場を立つと、玄関の鍵を閉めてリビングに戻ります、机のコップの中身の麦茶を半分飲んで、お皿の上にポツンと一つだけ残っていたお菓子を食べて...寂しくなったリビングをゆっくり片付けるのでした。
そして夜になって私は机の上にある手書きのプリント10枚に目を通します。
(よし、大丈夫ですかね)
内容は英語の宿題で半分は問題もう半分はその回答と解説になっています。
これは私が風さんの為に作ったプリントで、どうやら彼女は英語が苦手らしく、今日勉強してる時に英語で手こずっていたのが見えたので用意しました。
「ふわぁ〜〜ん...」
さすがに眠くなってきてあくびが出ました、私はそそくさとベットに入り、今日は色々あったなと思い返しました。
何故か風さんと一緒にいたことを思い返すとベットに入っているのに寒く感じてしまいます...
...風さん、どうか少しの間てもいいので...私と一緒に横を歩いていてくださいね。
「そんなこと言えませんけど」
私はボソッとそんな独り言を言い終えると、少しつづ暖かくなってきたベット中でゆっくりと目を閉じるのでした。
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