第4話 クラス内トーナメント戦
午後の授業開始のチャイムが鳴って、しばらくしてから世界史の武田先生が教室に入ってきた。まぁ、たぶん、ここの世界では武田先生も世界史ではなく、ゲームを教えに来たんだろうけど。
武田先生が少し興奮気味に話を始める。
「はい、注目! 今日の午後の格闘ゲームクラスは、急遽クラス内トーナメン戦をやるぞ。理由は想像ついてると思うけど、下田が午前中の授業で2つも世界ランキング級の得点を叩き出した。そこで、正式電脳スポーツ競技の一つである、格闘ゲームでも実力を試してみようということだ。」
ん?電脳スポーツ競技?また新たな不明な単語が出てきたぞ、なんだそれ?
「ということで、ストリートファイティング7でクラストーナメント戦をを始めるぞ。下田が参戦する試合は正面の大型モニターに映しておくから、自分が参戦中じゃないものは見ててくれよ。」
とりあえず、オレはゲームすることに異議はないので、お気に入りの「ラン」のキャラクターで参戦する。
そして、開始早々、一撃目から必殺激烈昇竜ボンバー3連コンボを決めてやった。
おおおおー。クラス中から歓声があがる。
うーん、歓声を浴びるなんて、なんとも気持ちが良いもんだな。じゃ、必殺技だけで終わらせみるか、とちょっと調子に乗ってるオレが続けて、必殺波動正拳、必殺脳天旋風脚で一気にKOしてやった。
うぉぉぉぉー。更に大きな歓声に包まれる。
うん、なんか良いぞ、良いじゃないか、この感じ。
続いて2回戦、ちょっと天狗モードのオレ様は、一撃目に必殺波動正拳で相手をぶっとばして、続けて最大まで溜めた必殺波動正拳でもう一度ぶっ飛ばし、そこに上から必殺脳天旋風脚を決め、相手に一撃の攻撃の隙も与えず、一気にKOしてやった。
もうクラス中が大盛り上がりだ。
続いて3回戦、準決勝戦、必殺技の連発だけではワンパターンでメリハリが無いと考えて、今回は、おちょくった感じで、常に相手の頭上からキックをし続けた。距離を取って、ジャンプして頭上からキック。また距離を取って、ジャンプして頭上からキック。
やはり予想通り、クラス中が更に盛り上がっている。
結局最後まで頭上からキックだけでKOまで持っていった。
敗れた対戦相手は、なんだよーちくしょー、ふざけんなー。と半分おどけて更にクラス中に笑いを誘った。
決勝戦、今回は遊びなしで、一撃目から必殺技を決め続けて、そのままKOしてやった。
「うん、下田、格闘ゲームも大丈夫なんだな。よし、最後、もう一戦、オレとやってみるか。」
そう言いながら、武田先生がジャケットを脱いで、教員卓からコントローラーを取り出した。
格闘ゲームの指導教員と生徒の対決ってことだからなのか、何故か担任の山村先生も教室に入って大型モニターを眺めている。
オレがまたランを選ぶと、武田先生も同じランを選んでぶつけてきた。なるほど、これで完全にプレイヤーの実力だけの勝負って意味なんだな、と思うと軽く鳥肌が立った。
ゲーム開始! 流石、武田先生の動きが早くて必殺技を決める余裕がない。
お互い攻撃を繰り出すが、確実にガードされてしまうので、まったく有効打にならない。
よし、やるしかないな。
オレは次の武田先生の攻撃をノーガードで攻撃を受けながら必殺激烈昇竜ボンバーを繰り出した。
うぉぉぉ。教室が沸いた。
このチャンスを逃すな!立ち上るタイミングまでに必殺脳天旋風拳が間に合うかが勝負だ!
指がコントローラーと擦れて熱い! でも、今やるしかない、気合いだ!
「行っけぇぇぇぇぇ! 必殺脳天旋風拳!」
決まった、そのままコンボで叩き込んだ。KOだ。
うぉぉぉあぁぁぁ。教室中がどよめいた。
「うおー、やられた。下田、凄いじゃないか。過去の栄光とは言え、国内チャンピオン経験者のオレを倒したんだから、少なくとも全国高校対抗戦レベルなら充分ランキングに入れるぞ。」
武田先生がオレの肩をバンバン叩きながら興奮している。
まだ授業中なのだが、山村先生がオレを教室から連れ出して職員室へ向かった。
職員室へ入ると、そのまま校長室へ連れていかれ、入学式でしか見たことのない校長、教頭と一緒に応接卓へ座らされてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます