第26話 ドラゴンへの道
「ふむ。精霊種なあ。ここには色々な者達が住んではおるが。聞かぬなぁ。森という事はエルフか?」
アシュアス達は、ニューキーワード『エルフ』を得た。
「その、『エルフ』はどこに住んでるのか知っていますか?」
「うーん。『世界樹の守人』がエルフだった気がする。聞いたのがずいぶん前だから忘れてしまった」
アシュアス達は、ニューキーワード『世界樹の守人』を得た。
だが、その先は不明。
今、フェンリル達と酒盛りをしている。
出会ってすぐに、言われた言葉。
「出会ってすぐから気になっていた。何を持っている?」
まあ、お目当ては、魚の干物とスルメ。
もうよだれが、すごいことになっていて、炙って食べ出したら酒が欲しいと仰る。
酒も持っているんだけどね。料理にも使うし。
そこで話していて、『ドラゴンのじじい』なるキーワードが出てきた。
「ドラゴンさんなら、知っている可能性があるの?」
フィアが聞くが…… うん? フィアの目付きがおかしい。
気が付けば、リーポスはすでに寝ているし、アミルとクノープがじゃれ合っている。
いつの間に仲良くなったんだ?
アミルも、アシュアスが好きだった。
というか、村の子は皆アシュアスが好きだった。
優しくて頼りになる。
かといって、他の男の子が嫌いというわけでもない。
何というか、持つ雰囲気とか魅力が別格であるだけ。
そしたらだ、女将さんマリベルから驚きの情報を得る。
「あんた色々と小さいから、クノープ君だっけ。あのくらい体格の良い子と結婚しないと、子供もちっこくなるよ」
(女将さん個人の感想です)
そんな助言を貰ってしまった。
確かに、背の高さや、肉の付き方はクノープが一番。
ほっといても、アシュアスには、フィアやリーポスがアタックをするだろう。
うーんおじさんも、ちょっとけんかっ早いけどいい人だし、女の人を見るとデレデレだけど、クノープも悪くないかもしれない。
そうしたら、無駄な焼き餅を焼かなくても良いし……
などという、ちょっとした心境の変化があった。
クノープは一人でいることも慣れていたが、話し相手になってくれてるなら拒みはしない。まだ恋愛などは考えていなかったし、兄妹同然に育ったメンバー。少しそっち方面に切り替えるには壁がある。
上手く行けば良いが、駄目だった場合に、疎遠になるのは勘弁してほしい。
それは皆が思っていた。
結局皆が、フェンリルを枕にして眠り、翌日奥へと向かうが、関所があった。
「ここから先は神域。許可無き者は通れません」
うん? 妙にかくかくすると思ったら、ふと頭にNPCなどという妙な言葉が浮かんだが、魔導具の人形のようだ。
そっと、線を超えると、ものすごい勢いで槍が振るわれる。
「これって、壊すと怒られそうだよな」
「そうだねえ。あっ。目の中にも魔導具が入っていて、撮影をしているみたい」
「うん? フィア。魔導具に詳しいのか?」
「いんや、書いてある。撮影中。撮影というのは、姿を映し撮るものなり。逃しはせん。獣王アンティオコ=マンチー=ジョヴァンだって」
「と言う事は、聖域の管理は王様なのか。王都はどこにあるんだよ」
すると聞こえたらしく、答えてくれた。
「王都はこの道を下り、まっすぐ行けば崖がある。その崖に橋を架けて真っ直ぐ進め。さすれば、十日ほどで王都に着く。街道を進めば、十五日。どちらが良いか考えよ」
「この声って、もしかして王様が登録をしたのかな?」
「さあ? まあ五日も短いなら、まっすぐ行って見ようか」
街道は、移動しやすさを考え造られている。
だがこの近道は、山あり谷ありを真っ直ぐ王都に通じる。
それにより、百五十キロ程度短縮できる。
「おお? 来るのならこれを持って来い」
魔導具人形が、胸を開き手紙を取り出す。
「では待っておるぞ」
「よくわからんが、行こう」
そう言って歩き始める。
「ふむ、今度はヒト族か…… まあ良い。戦う準備をしておくか」
人形は遠隔で動いていた。
中の人、獣王アンティオコ=マンチー=ジョヴァンは虎系獣人。
到る所に関所を作り、喧嘩をふっかけていた。
退屈な王の暇つぶし。
だが、戦うときは真剣で、ときには王座をかける。
とは言っても、鬱陶しい人であることに変わりはない。
臣下は、王様を誰かボコボコにして、くだらないことをしないように、してくれないかと、密かに願っている。
だが、獣王はトーナメントをして一番強いものがなる。
だから勝てる者はいない。
だが、余所の大陸からやって来たアシュアス達は、この大陸の枠からは外れた者達。
ドラゴン達が住まう場所。
そう、ドラゴンへの道を進むため、獣王に挑む。
「これ、崖に橋を架けろって言っていたけどさ、くるっと回るだけでも良いような気がしない」
目の前に現れたのは、シンクホールあるいはドリーネと呼ばれるもので、地下水により浸食されて崩落をしたときに出来上がる、縦に開いた大穴。
周囲は繋がっていて、実際道もある。
だがまあ、アシュアスだから橋を造る。
アーチだとかなり勾配がキツいので、吊り橋だったり色々と考える。
奇しくも、テンセグリティ構造を使ってみたり色々だが、結局トラス構造に行き着く。三角が入ると強いんだという知識を得た。
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