第15話 エベラルドトゥリー
アシュアス達が、ビザッティの町でゆっくりしている頃。
峠で襲われていて、助けられた冒険者達。海竜の天敵というチームだが、無事にスキーム町を経て、トヨース漁港に続く道を進んでいた。
ところが、嵐があったわけでもないのに、橋が落ちていた。
「どうして橋が落ちているんだ?」
エデュが代表として、周囲に居る人に話を聞く。
「五日ほど前の晩、ドラゴンキャットフィッシュが暴れたらしい」
ドラゴンキャットフィッシュはでかいナマズ。今回の個体は体長10メートル。
「どうして? 基本はでかいが、おとなしいはずだろ」
「そのはずだが、あれを見ろよ」
普通は、水底でじっとしているはずだが、水面近くでクルクルと回転をしたり、残っている柱に体当たりをしている。
「なんだあ?」
「おかしいだろ。まるで酔っ払いだ」
その商人が言うように、動きがおかしい。
そう、普通は起こらない事が起こった原因。
数日前のスキーム町。
アシュアス達の会話。
「これも美味しいわよ」
リーポスが差し出してきたのは、カエルっぽいが、結構な大きさ。
「ジャイアントトードか?」
「しょう」
またこいつも、食いながらしゃべるし。
「また、ジャイアントフロッグと、間違えて無いだろうな」
「大丈夫、目の周りに瘤があったし」
自信満々にリーポスが答えるが、瘤が有るほうがまずい。
どちらも体長一メートルくらいだが、片方は無毒、片方はアルカロイド系の神経毒を
「瘤が有るほうが、ジャイアントフロッグ。毒持ちだ。白い液体には、触ってないだろうな」
「あーうん。でも、川で洗っちゃったから、どうだろう?」
覚えているだろうか?
この時、大量の魚が川に浮いた。
それを、下流にいたドラゴンキャットフィッシュが食べた。大量に。
そして、今現在も猫にマタタビ感覚で酔っ払っている。
そして、橋を直すにはドラゴンキャットフィッシュを倒さなければいけないが、奴の皮膚は粘液と厚い皮に守られている。
通れないと、自身達も護衛依頼達成にはならない。
だが、矢や魔法が効かない敵。
海竜の天敵たちは、周りの商人や住民に望まれ、生臭い粘液でドロドロになりながら、泣きながら戦ったようだ。
彼らの騒動は、さておき。
アシュアス達は無事、地方の中核都市。エベラルドトゥリーへと向かっていた。
この町は、南にツイージ漁港。北にスピナエ山脈があり、そこでは宝石や金属が産出される。
王国内では、かなり大きな都市となっている。
アウレア=アルボア公爵は王家の血筋でもあり、その居城を中心に、高さ十メートルを超える城壁が、年輪のように建てられ、今もまだ拡大を続けている。
山からの清涼な水を、水道橋により町に引き込み、
そこから町へと、水が供給されている。
城が青白いのは、使われている大理石による。
透過性をもった薄青の大理石で、城全体が造られている。
そのため、王国内でも屈指の城となっており、幾度か、謀略や攻撃をされた歴史がある。
「うわあすごい」
流石のリーポスも驚く。
今造られている城壁も、壁が薄緑色に光を反射をしている。
そして、城門でのチェックを受けて、中へ入る。
この門が出来た時に引っ越してきた、かなり新しくて立派な冒険者ギルド前で、任務は終了。
メルカトアさんと共に、ギルドへ入る。
任務達成の情報と共に、ヘルキニアの町で持たされた自分たちの情報。そう、ギルドの情報通信用お手紙配達。それも達成を貰う。
「ご苦労様です。その若さで、黄銅級。すごいですね。頑張ってください」
総合受付の、イミティスさんが、全く無表情で言ったくれた。
まるで、口だけが動く操り人形。
座っているから分からないが、透き通るような白い肌と、ささやかな胸。
肩までの髪は、多少ふわふわっとカールをして、色がグレーで瞳もグレー。あまり見ないタイプの人だ。
依頼も終わったので、宿を聞く。
「なるべくお安くて、良いお宿はありませんか?」
「良いお宿の、定義はどの辺りでしょうか?」
何処を見ているのか分からないが、カウンターの内側にマニュアルでも貼ってあるのだろうか?
「えーと、安くて綺麗でそこそこ?」
「でしたら、連鎖店でトラップインと言う宿があります」
連鎖店とは、チェーン店。元は同じ一つの店が、幾つも同じような作りで経営している。本部の直轄と契約があるらしい。
「個人経営でしたら?」
「お宿、らいふと言うお店がおすすめのようです。売りというか、ポイントは、見事な胸だそうです。かみさんと娘、見事だとか」
「調理とかが美味しい所は?」
「らいふ。料理も美味しいらしいです。マウンテンカウの乳を使ったスープが美味しいとか」
「あーまあ、良いか。道順を」
「正面を出て、右横へ少し入った所です」
「あーはい。ありがとうございました」
関係者のお店だったようだ。
言われたとおり、宿に行く。
話を聞いていたリーポス達が、笑顔でなぜか胸を両手で持ち上げ、見せつけてくる。
すぐ着いたが、看板が……
『
誰か分からない女の人が、空の星に向けて指をさしている絵が描かれていた。
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