高校襲撃事件

 

第1話

「ねぇ、ニュース見た?」


「何かあったけ?」


「昨日、浦添市の交番が襲撃されて拳銃が盗まれたんだって。だから、犯人が捕まるまで浦添市の学校は休校なんだって」


「え〜、いいなぁ」


 8時45分になり、チャイムが鳴った。「皆、おはよう。それでは出席を取る」と比嘉先生が言いかけたその瞬間、教室のドアが開いた。そこには悠斗くんがいた。しかし彼はなぜか席に座ることなく、教卓へと近づいた。


「おい、悠斗。何やってる。早く席に着け!」


 次の瞬間、比嘉先生は地面に倒れた。悠斗くんが胸ポケットから拳銃を取り出し、それで比嘉先生の胸を撃ったのだ。


「キャー」


「先生! 先生!」


「先生死んじゃったの?」


「早く逃げないと」


「悠斗が交番銃撃の犯人だったのか!?」


 クラス中がパニックになった。皆一斉に立ち上がり、教室を出ようと後ろのドアに押し寄せた。しかし、外側から細工がしてあるらしくドアか開かない。


 その間、クラス委員の颯太くんは躊躇することなく、彼の方へと向かった。そして、悠斗くんの胸元に掴み掛かるとこう怒鳴った。


「なんでこんなことするんだ!?」


 しかし、悠斗くんは躊躇うことなく颯太くんの腹部を撃った。そして、パンッという音と共に渡辺くんが血を流して地面に倒れ、皆が一斉に悠斗くんの方を向いた。


「死にたくなければ全員席に着け」


 悠斗くんがそう怒鳴った。すると、その一言でクラスの皆は席に着いた。悠斗くんはそのことを確認すると、拳銃を片手に、窓際に一番近い1列目と2列目の通路を歩き始めた。そして前から5番目の席の所で足を止め、そこに座っていた蓮くんの頭を撃った。脳みそと血が窓ガラスに飛び散り、彼は即死した。その後、3列目の4番目に座っていた大輝くんと6列目の3番目に座っていた翼くんも頭を撃たれて即死した。私は意味がわからなかった。なぜなら、悠斗くんは蓮くん、大輝くん、翼くんといつも仲良さそうにしていたからだ。


 その後、悠斗くんは拳銃を床に捨てた。そして、ズボンのポケットからナイフを取り出し、それを構えながら後退りをして教室から出て行った。


「……早く救急車を呼んでくれ」と比嘉先生が呟いた。


「僕も早く治療受けたいです」と颯太くんが答えた。


 二人の声を聞き、クラスの皆は安堵した。それから保健委員の陽菜ちゃんが急いで救急車を呼び、これで一安心、と私は思った。しかしそんなことはなかった。悠斗くんは、1Lサイズのガソリンの携行缶を手に持ち、再び現れた。そしてそれをドアの周りに撒き、ライターで火をつけた。すると大きな火柱が立ち、教室全体に燃え広がった。その瞬間、私は悟った。悠斗くんが自分の友人を殺したのは彼らを苦しめないで殺すためで、私たちを殺さなかったのは苦しめて殺すためだ、と。

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高校襲撃事件   @hanashiro_himeka

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