第8話 沼津へ日帰り(2)
「内浦の浜に行ってみますか?」と運転手さんが言う。
内浦と言うのは、聖地の中の聖地の1つで、アクアのみんなが住んでいたところだ。タクシーで行ってもらう。窓の外に、何度もアニメで見た風景が広がっている。。
実はもっとディープなオタクたちが、内浦で地元の人に迷惑かけてるらしい。いかんよね。
浜辺に降りてみる。浜はみんな同じように見えるんだけど、なんとなく、ここにアクアがいたような気がする。
僕らはその後、沼津の港へ行って、タクシーを降りた。
「タクシー、結構お金かかったね。」僕が言う。
「だから、行きは安い小田急線にしたのよ。」とあゆみが言う。
しっかり者でいいなぁと改めて僕はあゆみに惚れ直す。まあ、毎日だけどね。
ちょうどお昼の時間だ。あゆみは僕を連れて、お目当ての所へ行く。お店が並んでいる中で、ひときわ行列ができているお店があった。魚河岸丸天と書いてある。
丸天と言う位だから、きっと天ぷらのお店なのかな。
それにしてもすごい行列だ。これで平日なんだから、休日だったらすごいんだろうな。
周りにも、自分で干物を焼いたりするようなおいしそうなお店もある。でもあゆみがここを選ぶからには、きっと理由があるんだろう。
あゆみが言う。」
「猛の注文は決まってるからね。」
何かわかんないけど、こういうのはあゆみに任せておけば大丈夫。
やっと順番が来て席に着いた。周りを見回すと、何やらボリュームがすごいものを食べてる人たちがいる。なんだあれは。
あゆみはメニューをちらっと見てすぐに注文した。「天丼と、かき揚げお願いします。」
普通っぽいけど、何か特別なんだろうか?
頼んだものが出てくる。超驚いた。
僕のかき揚げドンブリは、茶筒ぐらいの大きさがある。実際、茶筒のようなものに入れてあげるらしい。え?特許なの?
気が向いた人は、沼津の丸天で画像検索してみてもらえば良い。驚いちゃうから。
あゆみの海鮮天丼も、すごいボリュームだ。乗りきらないくらいだよ。
「猛、私の天ぷらも少し食べてね。」あゆみは、にこにこしながら小首をかしげ、僕を見つめる。ショートボブの髪が揺れる。
いや、かき揚げだけでとても食いきれないと思うんだけど。
でも、あゆみのお願いだし、断れない。
茶筒と追加のエビ店と格闘し、お腹いっぱいになったところで、あゆみが言う。
「この後、私が行きたいところに行かせてね。」
「もちろん」僕が言う
あゆみが僕を連れて行ったのは、店からすぐのところにある、沼津港深海水族館という施設だった。深海魚が並んでいる水族館だと言う。
入り口に、メンダコがいます、と書いてあった。ダコってなんだろう?係りの人に聞いてみる
すると珍しい深海のタコで、なかなか育たないからすぐ死んじゃうんだそうだ。
深海魚の水族館がなぜあるかと言うと、実は沼津のある駿河湾と言うのは、急深になっていて、すごく深い湾なんだそうだ。金目鯛だって実は深海魚らしい。それは知らなかったなぁ。
あんこうとかが深海魚と言うのはなんとなくわかるんだけど。そういえば、知り合いが、どこぞのあんこう踊りを踊っていたなぁ。あれって本当にあるんだろうか? 戦車が関係しているとか、意味が分からない。
それはさておき、展示を見て回る。深海魚の水族館なので、明るくするのはタブーらしい。なので、全体的にちょっと展示が暗い。まぁ仕方ないよね。むしろ、深海だと圧力がすごいはずなので、この浅いところでそのまま生きているということが不思議だと思う。この辺は、やっぱり深海水族館ならではのノウハウがあるようだ。
奥まず行って驚いた。冷凍マグロならず、冷凍シーラカンスがあった。
子供の頃、シーラカンスはコモロ諸島と言マダガスカルの近くで取れると本で読んだことがある。最初に獲れたシーラカンスは、発見したラティマーさんとカラム二―川の名前をつけてラティメリア ^_^カラム二―スミスと言う名前だったと思う。実物は腐ってしまい、残ってはいない。
まあ、冷凍だと、人形とか冷凍マグロとあまり変わらないな、と思ったのは秘密だ。
子供向けの展示なんかもあっていろいろ楽しめた。深海水族館、侮れん。
「じゃあちょっとこっちへ行こう」あゆみが言う。
見上げるような、大きな水門のような建造物がある。、これ見たことがある。よしこちゃんが駅から走って逃げて、みんなが追いついたところだ。駅からここまでかなりあるよね。何キロも追いかけたんだろうか?
もちろんこの門をバックにまた写真を撮った。僕だけじゃなくて、あゆみと並んで記念写真を通行人の人に撮ってもらった。
ここには魚市場がある。港のそばだもんね。もちろんセリは朝早くしかやってないんだけど、そこで取れた魚とかいろいろ売っているし、食堂なんかもある。僕らはさっきの丸天でお腹がいっぱいだったので、お刺身とかは食べないし、買わない。
お土産物を見ていると、ラブライブグッズがある。寿太郎みかんと言う地元のみかんとのコラボ商品とかもあった。
僕は、千歌ちゃんがついたお菓子を1箱買った。
そういえば、沼津では、ラブライブサンシャインとコラボしたふるさと納税をやっているらしい。テレビでも「みんなで沼津を盛り上げよう」というCMをやっている。
僕は学生で、ふるさと納税をするような立場じゃないので、関係ない。僕が社会人になって、ふるさと納税ができるようになった時、まだこのコラボをやってたらいいな。
僕らはここからバスで駅の方へ向かった。ただ、駅まで行かずに、川のところで降りた。
ここは狩野川という川だ。そういえば、アクアのメンバー達も、川の土手を歩いていたなぁ。これも1つの聖地巡礼だ。
夏にはここで花火大会もあるらしい。
そのまままた駅の方へ歩いて行こうとして、左へ曲がった。その先に商店街があった。
何の変哲もない商店街のようだけど、僕は気づいた。ここは、映画でアクアのメンバーが踊った場所だ。
ラブライブサンシャインには劇場版があって、3年生が卒業するときになぜかみんなでアメリカへ行ったと言う映画がある。でも地元でも踊ってるんだよね。完全に聖地だ。とてもうれしい。
僕はやっぱりここでも写真を撮った。
商店街を抜けて、イーラと言うビルに入った。あゆみが僕を3階へ連れてってくれる。そこにはお寿司屋さんがあるらしい。ただとっても混んでいるようで、まだ僕らはお腹がいっぱいなのになぜだろうと思ったけど、入口で、あゆみが僕を連れてきた理由がわかった。
入り口の横に、ルビイちゃんのパネルがあったのだ。ルビイちゃんは1年生の女の子。3年生のダイヤちゃんの妹だ。
でも、やっぱり写真を撮った
まだお腹は空いてないけど、もう暗くなった。あゆみは、明日朝から用事があるんだって。
「帰るけど、どうやって帰ろうか?」あゆみが聞く。
「どういうルートがあるの?」「
「安いのと、早いの。安いのは来たときと同じルート。早いのは三島から新幹線。
ちなみに、新幹線で帰ったら、猛の部屋に寄るよ。」
ここはもう、選択の余地は無い。
ほんの少しの時間でも、あゆみと抱き合えるなら、数千円ぐらい惜しくなんかないさ。
僕らは沼津から三島へ行って、そこから新幹線に乗った。
「また来ようね。」あゆみが言う。
「夏にね。」僕も言う。
「その前に三島も来た方がいいかもね。」あゆみが言う
「任せるさ。」僕が答える。
今日の余韻を楽しみながら、新幹線の中で、僕はずっとあゆみの手を握っていた。
そこから先は…以下省略。
僕は、あゆみが大好きだ。
====
沼津編、後編をお贈りしました。
沼津はいいところです。
聖地巡礼でなくても、行くところはいろいろありますよ。
車があると、なお良しです。
ちなみに、沼津から富士山を見ると、下のほうは愛鷹山(あしたかやま)という山があって見えません。
たまに、沼津から富士山が下のほうまで見える、と書いた文学作品があえいます。取材不足ですね。
読者の皆さま。
ハート、★、フォロー、コメント、レビューなどいただければとても嬉しいです。
いつも言っていますけど、
袖すりあうも他生の縁。
情けは人のためならず。
あなたの御心をぜひ少しだけ分けてください。
あゆみ「あんこうと戦車って何の関係があるの?」
猛「Ⅳ号戦車のことだよ。ディアゴスティーニも出てる。」
あゆみ「踊りって?」
猛「恥ずかしいと思えば余計に恥ずかしくなります。燃やして焦がしてゆーらゆら」
あゆみ「わっかんないよ~」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます