第7話 沼津へ日帰り(1)


「猛、明日の金曜日は、日帰りで出かけるからね。」

あゆみが電話をかけてきて言う。



僕とあゆみは、授業の日程を合わせていて、金曜日も授業は無い。


だからいつも三連休なのだ。

まあ、バイトが入っていたりして、まるまる開いていることは少ないけど。


「どこへ行くの」

と聞くと、

「猛が行きたかったところよ。」


と答えてくれた。

どこなんだかよくわからない。


「朝7時に新宿南口の小田急の入り口ね。」

なるほど。小田急でどこかに行くんだな。


翌朝、7時に僕らは新宿駅で会った。そのまますぐ、小田急線の小田原行きに乗る。

小田原で今度はJRに乗り換える。


(これはもしかすると…)僕はわくわくしてきた。

「ねえあゆみ、もしかして沼津?」僕は聞いた。


「うん、そうだよ。行きたかったでしょ?」あゆみが言う。


「どうしてわかったの?」僕は聞く。

「だって、猛の部屋に、Aquors(アクア)のCDがあったもの。」


さすがになんでもお見通しだ。

Aquorsというのは、テレビアニメ ラブライブ!サンシャインに出てくる女の子たちのグループだ。


そして、沼津はその物語の舞台なのだ。アニメ自体はもう5年以上前に終わってしまったけど、地元は今でも盛り上がっているみたいだし、僕もそのうち行こうとは思っていたんだけれど、なかなかそういう機会がなかったんだよね。


1日じゃ全部は見れないだろうけれども、とりあえずある程度縁の地に行けたらいいなと僕は思った。


「こんなことならもっと調べればよかったなぁ。」と僕が言うと、


「今日のルートは私に任せてね。」とあゆみが言う。まぁ、だいたいいつでもあゆみがルートを決めているんだけれど。


小田原から乗ったJRは熱海止まりで、もう一度乗り換える。


「熱海から向こうは、JR東海だから、熱海止まりの電車が多いのよ。Suicaもこのままじゃ使えないから窓口へ行かなきゃいけない。めんどくさいよね。」


へー、そうなんだ。普段はJRと言っても違う会社だと言う事は意識することないんだけれど、そう言われてみると、新幹線だけはJR東海なんだよね。、東海道新幹線と言うべきだ。だって東北新幹線はJR東日本だからね。


各駅停車で沼津駅に着いた。沼津駅は、御殿場線と言う別のJRの鉄道と乗り換えができるらしい。富士山の方へ行くのかな。


時間は9時半過ぎなので、電車は空いている。


「沼津には、高校がたくさんあるから、時間帯によっては電車も混むみたいよ。」あゆみが言う


「女子バスケットで有名な加藤学園とか、相撲部があって、熱海富士って言う力士が出た高校なんかもあるみたいよ。」


へー。よく知ってるなぁ。というか、こういうことを調べるあゆみはやっぱりすごいなぁと素直に思う。


地下道を渡って、駅の出口を出ようとする前に、パネルに気づいた。


ラブライブ!サンシャインのアクアのパネルだ。メンバー全員が載っている。


ちなみに、アクアっていうのは、1年生2年生3年生、それぞれ3人ずつで、合計9人のグループなんだ。


主人公は、千歌ちゃんと言う2年生なんだけど、僕は個人的に曜ちゃんと言う2年生の女の子がお気に入りだ。


「猛、写真撮ってあげる。」あゆみが言ってくれる。僕は喜んでパネルのところで写真を撮ってもらう。


「2次元の女の子には、やきもち焼かないからね。」あゆみが言う。


僕は3次元の女の子については、あゆみ以外興味がないから大丈夫だよ。


駅を出て、駅のお店を歩いていると、なんと曜ちゃんのパネルがあった。多分これ9人分市内にあるんだろうな。当然僕はまた曜ちゃんと並んで写真を撮った。


「この後、タクシーに乗るよ。」


え?僕は驚いた。普段タクシーに乗ることなんてほとんどないから。


「本当は車で回ればいいんだけど、私も健も運転免許証持ってないもんね。」あゆみが言う


免許も取らなきゃなぁ。でもお金かかるんだよね。アメリカで運転免許を取った人に聞いてみると、試験場に自分で車を持ち込んで試験をするらしい。何だい、それは?州によって違うらしいけど、少なくとも日本ほどはお金はかからないんだろうな。



僕らはタクシー乗り場に行く。すると驚いた。なんと、花丸ちゃんの絵がついた、ラッピングタクシーだ。花丸ちゃんと言うのは、もちろんラブライブサンシャインのキャラクターで、1年生の女の子。あんな方言は地元でも使わないよ、とある人が言ってたけど、アニメだからいいんだよ。


タクシーに乗って、あゆみは、運転手さんに言う。


「長井崎中学校まで言ってください。


学校に着いたら、ちょっと待っててもらってもいいですか。」


運転手さんは言う。「いいですよ。そういう人結構多いですから。」



僕のテンションは爆上がりした。長井崎中学校と言うのは、アクアのメンバーが通っていた。浦の星女学院と言う学校のモデルになった場所だ。


タクシーは海のそばを走っていく。結構長いこと行くなぁと思ったところで、「ここで良いですか」と運転手さんが言う。


あゆみが「ここでいいです。ここまでのお金払いますか?」と聞くと、「いや待ってるからいいよ。30分ぐらいで戻るよね?大体みんなそんな感じだから。」


と言ってくれる。同じようなことを考える人たちは多いんだろうな。


僕らは学校の方へ行く。すると、アニメで見た長い階段がある。これだ。


僕らは、ゆっくり階段を登った。ものすごく疲れる。アクアのメンバー、毎日ここを歩いたりするんだから、きっと体力もつくだろうな。などと思った。


校舎が見える。でも生徒はいない。もしかして使われてないのかな?


何にしても、舞台になった学校が見られて、僕はとてもハッピーだ。


僕らはまたタクシーに戻る。あゆみが、じゃあ、港に行ってください。と言う。


すると、運転手さんが、「近くだから、まず三津(みと)のシーパラダイスへ寄りましょう。多くの人がここによるんですよ。」っていってくれた。

僕のテンションはまた上がる。


アクアのメンバーがバイトしたところだ!


「今日は時間ないからm中には行かなよ。」あゆみの無情な声がする。

それでもシーパラダイスの前でも写真を撮った。


「あれが淡島ですよ。」運転手さんが、沖のほうを指さす。

小さい島があえう。


あ、あれは「幻日のヨハネ」でマリリが籠っていたとこだ!

またテンションがが上がる。


「猛、夏になったらまた来ようね。その時はシーパラダイスに行って、そのあと泳ごうよ」


僕は、あゆみの水着姿を想像した。

あゆみは美人で、プロポーションも素晴らしい。


あゆみの水着姿は絶対見たい。でも、ほかの男には見せたくない。

だけどあゆみを自慢したい気持ちもちょっぴりある。


どうしようかな…僕は、真剣に悩んでしまった。


海鳥が、空を横切る。

「ようそろ~」と、アクアの曜ちゃんの声が聞こえたような気がした。



===

沼津編、第一回です。

聖地巡礼はまだまだ続きますよ。



ちなみに、長井崎中学校は、廃校になりました。

でも聖地巡礼の人たちがたくさん訪れています。




ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


読者の皆さま。

ハート、★、フォロー、コメント、レビューなどいただければとても嬉しいです。

いつも言っていますけど、


袖すりあうも他生の縁。

情けは人のためならず。


あなたの御心をぜひ少しだけ分けてください。

























猛「なんで、作者はこんなに詳しいの?」

あゆみ「作者は、自分はオタクじゃないって言ってるけど、どうかしらね。」


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